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…向こう側に座っている蒼の足裏が、俺の性器をごりごりと刺激してくる。ズボンの下から主張しているそこを押しこむように執拗に擦られた。


「な、なに、す…っ、」

「集中できてないみたいだから、お仕置き」


顔を上げて抗議すれば、彼は唇の端を上げ、冷たい目を優しく細めて微笑む。

せめて隣にいられると色々迷惑をかけてしまうかもしれないからと、どうしてもとお願いして対面に座ってもらったのに、これじゃ意味がない。

ぶるぶると振動させるように足裏を押し付けられる。布と性器が細かく擦れて、「ぁ…ッ!!ぁ、やああ゛…っ」と声が出て、唾液が口の端から垂れる。


「そんなエロい声出してないで。数式覚えないと、それ解けないよ?」


その綺麗な指が示すノートの文字を見て、辛うじて「ぁる…」そこまでいいかけたところで、足の裏で強く小刻みに動かされて走る快感に「ぃあああ゛…ッ」と悲鳴が上がって、集中できるわけもなくて。

もう、勉強どころじゃない。

ゴムで性器を縛られているせいで、自分ではどうしようもない快感に頭がおかしくなりかける。

それに、ゴムだって完全にがっちり縛られてるわけじゃなくて、本当にあとちょっとあとちょっとで射精できそうな気がする、ってぐらいのきつさで、抑えられなかった先走りが時々少し尿道口の隙間から零れる。

ぱんぱんな性器を擦りたくて、せめて両足同士、太腿を真ん中に寄せるようにして、ばれない程度に腰をくねらせ、揺らす。

けど、股のちょうど真ん中を足先で弄られ続けているせいで、完全に腿を閉じきることはできない。


「ぁ…っ、やめ…ッ、ぁ゛ッ、」


気持ちよくなりたい。
でも、イッちゃいけない。

…なのに、蒼がそんな俺の気持ちを試すみたいにパンパンに膨らんで硬くなったそこになぞるように触れてくるから、気持ちよくて、気持ちよすぎて涙と汗ででぐちゃぐちゃになった顔にさらに涙が伝う。

机の上のノートが涙と唾液と汗で酷いことになっていた。

「やっぱり、集中できてない」なんてわざとらしく溜息を吐いた蒼はゆっくりと立ち上がる。


「…勉強してるのに、どろっどろに顔を蕩けさせてるの…自覚してる?」


どんどん下腹部の奥に込み上げてくる快感に耐えきれず痙攣する俺を後ろから抱きしめて、彼は低く囁いた。

首から下げていたネクタイをする、と解かれる。
指に、シャツの一番上のボタンがぷち、と外された。

…上から順に外され、手が、俺のワイシャツの下に入り込んできた。
首筋を何かやわらかい感触が這う。

そこに吐息がかかって、すぐに唇だと気づいた。


「なぁ、まーくん。これは俺が悪いわけじゃないよ」

「…ッ、ぁ」


その甘い声が、身体に、腰に響いて。
腰の括れをなぞり、下におりていった冷たい手。

ズボン越しに蒼の手が俺の膨らみに触れて、摩擦するように揺らされる。

ぐちゅぐちゅ、
布の擦れを増やそうとするその指の動きに、ナカで擦られている昂ったモノがますます湿っていく。
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