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…違うのに

おれは、くーくんに幸せになって良かったねって言いたくて、
うまく、笑おうとして、頑張ろうとしてたのに

涙でぐちゃぐちゃになった顔を隠すように蹲ったまま両腕で庇う。


「もう…出て、いく…」


しゃくりあげながら唇を動かすたびに、泣きはらして痛い目尻も頬も、…ロープで締め付けられているように痛くて痛くてたまらないほど、ぎゅーって苦しくなる心臓から下腹部も、全部終わりにしたい。

…最初から、そうするべきだったんだ。


「…二度と、こんな風に、…くーくんに、無理やり、きす、…したり、しない…っ、ように、離れる…っ、」


あんな最低なことを考えるおれを、絶対にくーくんは望まない。
ばれたら、気持ち悪がられる。気味が悪いと思われてしまう。


「おれを死なせないって言うなら、自殺はしない、から…、だから、くーくんがどれだけおれを嫌いでも、あんな約束をさせたのも、…おれ、おぼえてないことばっかだから、謝っても意味ないかも…っ、しれない、けど、今までの罰で、苦しめたいと思ってたとしても、もう…赦、して…、」


家にいた時よりもどんどん自己嫌悪が激しくなっていく。酷く泣きながら繰り返す。
こんな自分を見下ろしているだろうくーくんを怖くて見られない。


「おれを、ここから、……」


解放を望む言葉を、消え入る声で零した。

…冷え切っている目を想像して、また自分勝手に瞼の裏に熱が帯びる。
静かにひとりでしゃくりあげながら、嗚咽まじりに泣いた。

どこに感情をぶつけたらいいかわからないほどに混乱し、今すぐにでも死にたいくらいのめちゃくちゃな気持ちで咽ぶ。


……と、



「手、上げて」

「…っ?な、に…」


下から支えるようにして、手を持ち上げられる。
…すぐにガチャン、と音がして…手首が軽くなった。

驚いて顔を上げると…枷が、ない。
目の前に膝をついているくーくんが、手に持っている枷を床に置き、もうひとつの枷も外す。

…両方の手首から呆気なく消えていったモノ。


「………」


足の枷も外されて、残っているのはその枷の痕だけ。
呆気なく自由になった手と足に、…しばらく呆然とする。


「……ぁ、…」


それから、…そっか、と涙ながらに納得して俯いた。

滑稽で笑えてしまう。
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