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「…っ、(……物足りない。)」


もっと、シてほしい。

気持ちよくしてほしい。

……声が耳元で低く囁く。


「好きだから、壊してあげる」


その言葉の意味が、理解できない。


「ちょっとずつ、まーくんが自覚できないくらい……ちょっとずつ壊して、俺がいないと息もできないくらい、不安定にさせてあげる」


耳には届いているのに、頭には入ってこない。




「…――まーくんには、俺だけでいい」



それ以外なんて、必要ない。

重く呟いたその声で、彼はどんな表情をしているのだろう。
軽く額に口づけをされて、くしゃりと頭を撫でられる。


「あと5時間、頑張って」


いつも通りの蒼の声。

―――――――――


俺が壊れることで、これ以上誰も苦しまないなら

……もういっそのこと、それが一番いいんじゃないかと、そう思った。
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