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……
………………


恐怖か寒さからか青ざめていれば、身体が震えているからと先にお風呂に入るように勧められた。

ネックレスだけはなんとかして隠し通せたけど、…今からのことを考え、酷く重く暗い気持ちで身体だけを温め終えて新しい浴衣に袖を通した。


その、後、


「…っ、ん、」


相変わらず重量感のある、目を見張るほど逞しい性器に、舌を這わせる。
先端を舌で弄り、ぢゅうと吸い上げれば口の中に粘稠に広がる苦い独特な味。

(ついさっきまでセックスしてた、から…?)

明らかに先走りじゃない、精子が残っていた。

さっきまで二人でしていたんだろう行為のせいで敏感になっているのか、いつもより勃起が速い。
だから蒼の身体に残る別の香りも一層強くて、カッと耳が熱くなるほど嫉妬心に駆られる。


……澪の子宮に吐き出した、精液。


何度、そこで受け入れられたんだろう。

だって、子どもができるってそういうことだ。

……妊娠するまで、一体どれぐらい、の回数と 量を



「何?怒ってるの?」

「……別に、」


微かに笑みを零す蒼は、きっと全部わかっているんだろう。
傍にいればいるほど、全てを見通されている気がする。

フェラを止め、目を逸らした俺の頭を撫でる感触。
それから、我慢しようにも耐えられず涙を零している頬に優しく手の平で触れられた。


「泣いてる顔、可愛い」

「……っ、」


本当に、その整った顔とは真逆の酷い性格をしている。

目尻を指先で軽く擽るような、その仕草に誘われるようにして、上半身を起こす。

吐息が触れ合うほど至近距離で瞼を伏せ、……少し躊躇って、唇を重ねた。


(味が、……違う、)


わかっているのに、舌を絡めて傷ついて、それでもその違う味を消したくてキスをして、また深く傷を残す。


「ん、…っ、ぅ、や、」

「気持ちよさそうなのに、嫌なの?」


必死に舌を絡めている最中、尖った胸の先端部をこりこりされて小さく震えながら、こぽこぽと先走りを零す性器。

してほしいけど、されたくない。

数分前、きっと蒼は同じことをした。

……澪のあの大きい胸を揉んだ後に、比較されたくない。


「……胸…っ、は、弄ら、ないで、…っ」

「…は、…エロい言い方、…煽られてるとしか思えないんだけど」

「っ、ん゛、ぅ…っ、や、だ、ぁ、…っ、」


嫌だって言ったのに、余計に今度は口に咥えてしゃぶられた。

唾液以上に大量の先走りを零して小さく脈打つ性器を扱かれながら、舌の先で乳首を突っつついたり転がして舐めながら小刻みに震わせられて、ゾクゾクして足がもぞもぞする。
きゅうきゅうと下腹部が疼いて反応してしまう。


(…どうせさっきまで澪にそうしてたくせに、もっと柔らかくて大きいのに、してたくせに…っ、)


きっと、今の俺と違って、もっと大人っぽくて厭らしくて可愛い顔で喘いでたんだろう。

きっと、俺と違って、もっと蒼は興奮してた。

考えたくないのに、嫌なイメージで頭が埋め尽くされる。

強引に押し退けて、彼の股の間に顔を寄せた。
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