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柔らかい感触と呼吸を奪う舌の熱い感触が脳を犯す。


「…っ、だから、俺じゃなくて、澪と、し…っんん…っ!?」


くちゅ、ぬちゅ、と擦り合って貪るような激しい濃厚なキスをされ、濡れて膨張した性器を指で挟むようにして擦ってグチャグチャ音を鳴らして小刻みに動かされる。
皮を上下に動かしながらカリを撫でられ、包皮と亀頭が擦れて強い快感が腰全体を犯してくる。

俺が抵抗するたびに、その言葉全てをかき消すようにうるさい、何も言うなと余裕のない声で遮られた。


「っ、ぅぅゔ…っ、ぃ、ぐ、…っ、む、……っ、り゛、…む゛、り゛、ぃ゛、……ぐ、……っ、ぅ、あ゛あ゛――…っ、」


動く指の振動によって込み上げる凄まじい快感と脳を突き上げる快楽に下腹部を前に出しガクガクする。

イッている最中も容赦なく感覚の鋭すぎるところをヌヂュヌヂュ擦られて、下半身が悲鳴を上げているようにビク、ビク、と痙攣し続けた。
腰を跳ね上げて周りが全部びちゃびちゃになるほど射精して、絶頂する。


「……は…——っ、は、…っ、……や゛、め……っ、………ぐ、っ」


口の中も下も全身がイッた感覚で甘く痺れるほど徹底的に嬲られて、糸を引いた白い液体に汚れたままたて続けにされて意識が朦朧とする。

呆気なく床に倒れ込み、押し倒されるような形になっていた俺から唇を離し、彼はゆっくりと上半身を起こす。

………そこに見えた彼の表情は、苦しそうだった。

明らかに今の行為によるものじゃない、……冷たいと感じるほど整った顔に微かに滲んでいる感情。

行き場のない子どものように、何かを抱えている。

まるで、あの日のように。

俺に見られたくないことが、知られたくないことがあって、必死にそれを隠そうとしている時みたいに。


「………なに、に……きずついてる……の?」

「っ、」


呼吸を整えながら僅かに残る意識で、ほのかに湧いた疑問を零す。

好きな人と……澪との結婚を決めて、…ほぼ毎日身体を重ねている……今が一番幸せなはずだ。

どう考えても、蒼がそんな顔をする理由が見当たらない。


………はず、なのに、


「もう、全部遅いんだよ」


震える声で呟いた彼は、瞼を伏せて寂しそうに笑った。


――――――――――――――


………

…………………


俺のと自らのもので白く濡れて、気を失った身体。
余韻が残っているのか、性器に優しく撫でるように触れると容易に反応して甘い声を吐き、小さく震えていた。

手を離し、別の方に視線を向ける。


「……俺に内緒で拾ってくるなんて、悪い子だな」


袖の袂から零れ落ちたものを拾い上げた。

まだ思い出した確証はない。
それでも、これを持っているということはある程度取り戻した可能性が高いから。


(まーくんには、また壊れて全てを忘れてもらわないと)


はは、と掠れた笑みを零し、風呂場に向かうためにぐったりとした身体を抱き上げた。
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