10
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自制が効かない。
頬が熱くなり、疼き、以前には少なかった性的な衝動が遅れて襲ってきたように発情して止まらない。
「……っ、ぅ、んん…っ、ぅ、ゔ…っ」
びちゃびちゃに濡れ、既に力が入らなくなってきた甘く痺れて怠い腰をへこへこ前後に振り、円を描くようにくねらせながら意識が朦朧とする。
昨日と今日の境界線もわからなくなって、性欲だけを発散する生き物になる。
前以上に記憶が飛んで、会話した内容さえ覚えられなくなって、覚えていないということさえ記憶に残らなくなる。
一度手をつけるとしばらくそれしか考えられなくなって、何度イッてもおさまらなかった。
やりすぎて、部屋の中の熱気が、湿度が高くなっている。
雪が降るほど真冬で、暖房がつけられているとはいってもおかしいほど身体中汗でびっしょりだった。
額から滲んだ汗が閉じる余裕もなく僅かに開いている唇に伝い、唾液と一緒になって顎に零れ落ちる。
「……っ、ぅ、ぐ…っ、……ぅ、ゔ…っ、」
これ以上したくないのに、イきたくなる劣情に涙が溢れて頬を伝っている。
は、は、ぁ…っと喘ぐ自分の声が、他人の物のように聞こえた。
壊れた肉欲動物みたいに、劣情を催し続け、イッて感覚の鋭い肚の中を摩擦しながら先走りを吹き出している性器も時折扱き、腰を振る。
「……っ、ぁ、お゛、…っ、ぃ、…っ、ん、ん…っ、ぐ…っ、」
想起するたびに、きゅーって下腹部から骨盤が痺れ、身体中を自分の精液でドロドロにする。
ずっと刺激し、摩擦し続けている後孔の肉壁も、性器も、快感のために弄りすぎててもう限界だ。
手の平も、そろそろ濡れすぎてふやけてきてもおかしくない。
手が震えてボトルを数度ぶちまけてしまったから、畳の上だけでなく、射精した精液と同じぐらい俺の身体もドロドロにしている。
まるで実際にしている相手でもいるように、切なげに名前を呼び、……好き、好き、と伝えることもできない感情を吐き出す。
声の音量や切迫感が上がるにつれ、ぬぢゅ…ぷちゅ、と肚の中に入れた指の動きも、粘稠度も卑猥な音の速度も上がっていく。
下半身を動かすたびに頭が痺れて何も考えられなくなる。
けれど、
……自分とではない。
蒼が澪に腰を打ち付けていた…あの場面を思い起こし、されているのが自分だと思い込みながら自慰行為を繰り返していた。
尋常じゃないほど痛みに苦しみ、傷つくってわかっていながらも、あれ以降も自分の足で行ってしまった。
………狂ってる。
婚約者がいるのに俺との関係を続けようとする蒼も、
何より、……せめて自分にしてくれないなら、……他の女の人にでもいいから、蒼がいれて腰を動かして、感じてるのを見たくて……扉の外から覗いていた俺が、一番……異常だ。
ぎゅーっと絞られているような激しい胸の痛みや羨望と同時に、俺相手では見れない、その力強く腰を振って欲を吐き出す姿に、……おかしいかもしれないけど、泣いて叫びたくなる感情と同じくらい勝手に興奮して、勃起した。
(……なに、してるんだろ、おれ…)
泣きながら、それでも身体の熱がおさまるまでただひたすらイき続けるしかない。
決して自分の指では届かない、奥まで挿入されることを夢見て、…浅い場所に差し込んだ指でグチャグチャと粘膜を擦り、腹側のコリコリとした前立腺を潰すように何度も前後に引きずる。
部屋に置いてあったローションは昔使った物より大分トロトロとしてて色もついてるし粘度が高い。
本当は玩具も欲しくて、我慢できずに使用人の人に聞いてみたけど『許可が出てない』とかで渡してくれなかった。
……動物みたいに発情期を繰り返している俺の様子もおかしいのか、その話しかけた相手の人も不自然な挙動で目を逸らして、すぐに小走りでいなくなってしまった。
びく、びく、と股間から脚にかけて小さく痙攣が大きく鳴っていく。
「……っ、ぁ、ぐ…っ、」
何十回目か、永遠に感じる絶頂を迎えた。
痙攣し、収縮する肚と、びゅくっ、と熱を吐き出す性器。
一度発情すると着物を脱ぐ余裕もなくて、行為の間にほぼ着れてない状態になった服が今はその綺麗さを見る影もなく液体だらけだった。
無残に開いている股間は絶えず細かい収縮と痙攣を繰り返し、腰が跳ねるたびにいやらしい蜜をびゅっ、こぽこぽ零している。
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