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……だからこそ彼らの情事が嫌でも耳に届き、伝わってくる中、暗い部屋で乾くことがないんじゃないかと思うほどに泣き続け、布団や枕で声を殺している少年を見ていると、なにかをしてあげたくなる。

あの夜から、少年のことが頭から離れなかった。
今までしなかったミスを数度してしまうレベルで、映像として残ってしまった。

「本日の業務は終了です」とロボットの台詞のように昨日と全く同じ締めの合図を聞き、待っていましたとばかりに足は少年のいただろう部屋の方向へと向かってしまいそうになった。


……それから程よい頃合いになるのを待ち、来たのだが、

ここに来るまでに、チャラい風貌の知らない男たち数人がここら辺りの方から歩いてくるのを目撃した。


「……っ、……………」

「……ぁ、」


射精し続けたせいか汗塗れに疲労しきった顔で肩を上下させている少年が、ふとした動作でうつろな視線をこちらに向けたことで、見つかってしまう。

勝手に自慰行為をみられていたと、動揺と恐怖を滲ませてもおかしくないのにそういう感じはなかった。

毎度のことながら乱れている着物。
少年の白い精液で汚れたままの喉をうならせるような素肌と抜いた直後の表情に近寄りたくなる発作を抱きつつ、速度を上げさせられる心臓に構わず、声をかける。


「大丈夫、でしたか…?」


不良と見ただけでわかる男たちは屋敷に似つかわしくない髪色をしており、たまに夜に見かけることはあったが特に関係ない場所を歩いていたため気にも留めていなかった。

だが、いつもと違う時間帯にここに来たせいか偶然なのか、少年の部屋のあたりから出てきたような気がして、まさかと憂慮しながら来たのだが、


「………?」


ぼうっとしたように見上げられたままで、言葉が通じているか、理解できているのかまるでわからない。

金髪に染めた複数人の男が来ていなかったかと、再度わかりやすく確認する言葉を発している最中、


「……くー……くん……?」


一瞬、見定めるようにこちらを見ていた顔が、甘く緩む。
濡れている綺麗な唇が動き、待ち人だろう男の愛称をつぶやく。

少年のいる部屋は真っ暗で、僕は外からの灯りを背にしている。
逆光で影になっているためにすぐには見えなかったらしい。

崩れている着物のせいで上半身は一部隠れているどころか全部見えていた。
性器はかろうじで僅かに生地がかぶっているだけだ。

……この危ない感じをどうにかしないと、少年はいつかやばいことをされると100%の確信と自信を持って言える。
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