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「……」
キョトンとして目を瞬く蒼に縋るような目線を向けていると、ふっと優しく笑って抱きしめられた。
「怖い夢でも見たの?」
彼の香りに包まれる。
視界に入ってくる手首から続く長い鎖が、音を奏でた。
「違う、けど…」
小さくそう呟きながら、その身体を抱きしめ返すと、耳元で掠れた声がする。
「――…無意識でも、誘ったまーくんが悪いから」
「へ?」
その声の意味が理解出来なくて、そんな素っ頓狂な声を上げた。
そして少し身体を離した蒼が、吐息が触れるほどすぐ至近距離に顔を近づける。
「…っ、ぇ、」
顎先に指を添えて僅かに持ち上げられ、唇が重なった。
そのいきなりの行動に驚いて、差し込まれる舌に反応できない。眩暈がしそうなほどの激しいキスに腰が震える。背中に回された腕に抱き寄せられて、離そうにも身体を動かせない。
「…んっ、んぅ…っ、は…っ、ぁっ」
「…っ、は…ッ」
「んぐっ…ふぁ、ん、んんっ…んぅっ」
一瞬舌を強く吸われて、びりびりとした変な感じが身体を走る。
がくがくと腰が震えて、その場に崩れると目線を合わせるように片膝を床につけた蒼が満足げに笑って、俺の唇の端から零れた唾液を拭ってぺろりと舐めた。
その妖艶などこか厭らしい仕草に、ほうっと見惚れる。
「そんな浴衣もはだけた状態で、潤んだ目で見られて、縋りつかれて、我慢できると思う?」
「ぁ…ぅ?」
何故だろう。
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