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俺は、おかしくなっちゃったのかな。
「…あおい…」
そう熱い吐息交じりに名を呼べば、蒼のその瞳の奥に、欲情の色が濃くチラつく。
惹きつけられているかのように、視線をそらすことができない。
「あーあ、今日は何もしないであげようと思ったのに」
はだけた浴衣の隙間から、手が忍び込んでくる。
腰に触れた手は徐々に上にあがってきて、そのむず痒い感触に声が漏れた。
手つきが、なんか厭らしい。
「…っ、」
乳首を軽く指の腹で擦られて、小さな悲鳴が喉の奥で鳴る。
…でも、声にはならない。
違う、と訴えようとして、ふと心の声が聞こえた。
(――本当に?)
本当に、俺はただ蒼に傍にいてくれることを望んでいたのか。
……本当は、こういうことがしたいと思っていたんじゃないのか。
視界が歪む。
熱のせいか、何も考えられない。
わからない。
…そうしている間にも、行為は進んでいく。
まるで、それは自分のことではなく、何かをスクリーン越しに見ているようなそんな感覚。
「…ん…ふ…っ」
首筋に顔を埋めた蒼がその辺りに唇を這わせる。それが肩におりて、くすぐったい感覚に声を漏らした…直後、「ーー痛…っ」そこを強く噛まれた。歯が骨にまで達するような激しい痛みにぎゅっと瞼を閉じる。涙が滲んだ。
びくっと震えながら反射的に身を引こうとして、抱きしめられたこの状態ではそんな行動は許されない。
ジンと噛まれた場所が疼く。
「………は…ぁっ」
唇から零れる甘い吐息。
…こんなに痛いのに、突き飛ばせない。
でも、それは蒼がそうしてくるからってだけではなくて。
………俺も本気で引き離そうとはしていないような気が、する。
なんで、こんなに抵抗できないんだろう。
思考はふわふわと水の中を漂っていた。
「でも、これが薬の効果だと思うと心底嫌だけど」
そんな小さな、耳を澄まさなければ聞き取れないほどの苛立ちを含んだ呟きに。
首を傾げる。
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