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「んっ」
乳輪の周りを舐められる。ぐるぐる円の形に舌を押し付けるようにして這わせられ、そこから感じる甘い刺激に小さく身体が震える。中心部を触るのを焦らしているみたいに周囲を丹念に舐められ、吸われて段々体がそこへの刺激を求めて自らこすりつけてしまう。
「ぁ…っ、んん…ッ、」
「喘ぎながら腰振って胸押し付けてくるって、エロすぎるだろ」
苦笑にも似た笑みを零し、呟かれた言葉によって吐息がそこに触れる。
びく、と容易に反応して、焦らされながら尻を振って強請っているとようやく舌が乳首に触れて舐めてくれる。
舌先で数度触れた後、ちゅう、ちゅう、と敏感に尖って充血している乳首を啄むように吸われて、上擦った声がおさえられない。
薄い涙の膜が張った視界で見下ろすと、乳首に舌を這わせている…珍しく上目遣いの蒼と目が合って、「…っ゙ぁ、」ごきゅ、と勝手に喉が鳴り、身体が反応した。俺の変化を見て、彼の綺麗な顔が艶やかに微笑む。
…と、見せつけるように卑猥な音を出して、そこにむしゃぶりつくように吸い付かれた。
「あ゛…っ、ん゛ぁ!ぁああ…っ!はぁ…はぁ…っ」
上手い舌遣いすぎて何をされたかもわからなかった。舌や唇、指を駆使して一瞬でびくびくと身体全体が大きく跳ねる。歯で甘噛みまでされて、快感が直に性器を直撃する。快感に腰が、腹筋が痙攣して脳を犯す。浅い呼吸をしながら、すぐには収まらなくて、ぁ゙…っ、ぁ゙、と残る感覚に耐える。イッたのにさっきよりも腹の奥が疼き、より欲深くなる。
浴衣の布をずらし、蒼の指が痛いほど勃起しているソレを…蜜の糸を引いてるその表面を艶めかしい所作でなぞった。
びくん、とまるで性器自体に意思があるみたいにびくついて、それだけの刺激でさえ記憶にあるものより想像以上に、…気持ち良すぎる気がして、なんだか怖くなる。
「ぁ、あ゙、ゔ、ちょ、待…っ、」と、思わず腰が後ろに引く。
「逃げたい?…まぁ、嫌がっても絶対に離さないしやめられないけど」
「…っ、ちが、…っ、ぅ、ぁあ゛ぅぅ…っ!!ぐ、ぅゔぁっ!ひ、ぐ、…っ、ぅゔ…っ」
下着の下に入り込んだ冷たい手に亀頭を握り込まれ、皮をスライドさせるように上下に扱かれる。
陰嚢を包みこんで睾丸を弄ぶように揉まれながら、手の平全体で亀頭覆われて優しく撫でまわされるとゾクゾクした感覚が下半身を襲って身悶える。
ヌヂュヌヂュヌヂュ亀頭と裏筋を集中的に手の平や指の腹でいじめられれば、喉を唸らせるほど痺れるような快感が亀頭から骨盤全体に広がる。ビクッビクッと震えた性器がこぽこぽ尿道口から喜びの蜜をにじませ、彼の手を濡らしていく。
「ぁひ…っぅ、ぐ、…っ!…んん゛…っ、ゔ…ッ!」
ぐちゅぐちゅと鳴る卑猥な音。亀頭をヌルヌル撫でた後、親指と人差し指で作った輪っかで亀頭の先端とカリ首を往復させて搾るように動かされる。
更にトロトロの蜜を絡ませながらた手の平が小刻みに振動して根元から竿を通り、搾るように亀頭を扱く。
竿をもう片方の手で固定されたまま、亀頭を捏ねるようにして手の平でグチュグチュ摩擦される。尿道口から溢れる蜜を絞り出し、射精を促そうと上に向かってぎゅうぎゅう扱かれるのを繰り返されると尻穴が異様にヒクつき、腰がびくびく跳ねる。
「ぁあ゛…っ、ぅ、ゔ、ゔ、ぁ…っ」
「まーくん、言って?」
耳元で囁かれるその声に、ためらうことなく頷いた。
「ぎ、もちい、い…ッ、ぁ、あ゙ぅ、ゔ、ぅ、…っ」
「何されて、どう気持ちいいのかも教えて。前みたいに」
その声はまるで媚薬のようで、耳が、脳が、溶かされていく。
(…”前”って、いつのこと…?)
頭が痺れているように、何も思い出せない。
「あお、い…の手に、ち、ちんちん…をこすられて…、きもぢ、い゛…っ」
「うん。よくできました。…イイ子」
よしよしと頭を撫でられて、俺は凄く嬉しくなって頬を緩める。
瞬間、
——『あは…ッ、あおい…っ、ん…ッ。もっと…ッ、おぐ、ぅ…っ、づ、いれ…っ、あお゛…っ、に…ッ、もっろ、グチャグチャして、はげじぐ、ざれ、だい…っ』
————『…っ、イイ子だな。ほら、ご褒美』
チリチリと脳が痛む。
なんで、こんな知らない記憶…。
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