志波空鶴
二人に案内されたのは、地下の一室。
中からの物音に一堂にぴんとした空気が張りつめる中、金彦の手によって目の前の襖が、すぱんと勢いよく開いた。
「よう、久しぶりじゃねぇか、夜一。」
そして、障子の奥にいた空鶴の姿に一同が驚き声を上げた。
「く、空鶴って…」
「女ぁ?」
それを特に気にとめることなく夜一さんが、畳の部屋に足を踏み入れ、空鶴さんに近づいていく。
そして、空鶴さんは私たちを見つけ、目を細めた。
「あぁ、なんだぁ?そのガキ共は。」
「実はのう、空鶴。
今日はお主に頼みがあってきたのじゃ。」
部屋の真ん中程に腰を下ろした夜一さんの言葉に、空鶴さんはそれはそれは面白そうにニヤリと微笑む。
「おまえが来るときはたいがいそうじゃねえか。」
その言葉を最後に、空鶴さんと夜一さんが何かをさぐり合うように視線を交え、空鶴さんは不適に笑った。
「面倒ごとは大好きだぜ。」
それを聞いた夜一さんは、ことの内容を話し始めた。その間に、私たちは夜一さんの後ろに腰を下ろした。
「いいだろう。
引き受けてやる。
浦原もかんでるんじゃ、断るにも断れねぇしな。
ただし。」
信用できないと、見張りの意味を込めて手下を一人つけると言った。
そして、近くの襖が開け放たれた。
……ん。
顔を見た瞬間、何かよく分からない空気に包まれる。
しかし、顔を見合わせた途端、「あー!」と叫び声を上げ、途端に喧嘩を始めた一護と見張り役。
はぁ、またか。
ため息をつきぼんやりと2人のやりとりを見ていると、私をじっと見つめている視線に気が付き、ぱっと視線を向ければ厳しい表情で私を見ていた空鶴さんと目があった。
ピクリと眉間にしわを寄せる。
これ、殺されんじゃねーかと思うほどに。
が、次の瞬間、空鶴さんのキセルが吹き飛ばされ、それはぽとりと畳に落ちる、そこまではまだ良かったのだが、それが黒崎かはたまた岩鷲の足に踏まれ、真っ二つに折れた。
あ。と思ったのもつかの間、とうとうぶちきれた。
二人の頭に拳と蹴りを落として止めたのだ。
が、拳だけだったはずなのに、部屋場爆発。家までもが傾く始末。
何なんだよ、この人はもう。
何でも規格外だ。
黒崎をまるで猫のようにつまみ上げ、に睨みを利かせて黙らせる空鶴さんに苦笑いを浮かべた。そして、喧嘩が一段落差すると、一行は空鶴さんの案内で巨大花火打ち上げ場所に通された。
そこで説明されたのは霊珠核に皆の霊力を込めて砲弾を作り、それを大砲で打ち上げて内部へ侵入するという、なんとも斬新なものだった。
なんつーか、まぁ、わかりやすくて、それはそれでいいのかもしれない。
そんな説明をぼんやりと夜一さんの隣で聞いていると、説明が終わり4人が金彦と銀彦に連れて行かれ、岩鷲も走っていった後、空鶴さんはじろりと笑い私を見た。
「なんだ、てめぇ、生きてたのか。」
「…ま、まぁ…。」
ボキボキと、恐ろしいほどに指を鳴らして近づいてくる空鶴さんに、うっと言葉を詰まらせる。
「ざっと30年か。
てめぇ、連絡もよこさずどこに行っていやがった。」
あぁん?とすごむ空鶴さんに、ピクピクと口角をふるわせ、チラリとみた夜一さんはもうすでに諦めたような表情をしていた。
助けてくれないのか!
「てめぇ、一発殴らせろ。」
「ご、ごめんなさい。」
痛いのはいやだ!なんどこの人の拳骨を受けても、なれることはない。痛いのだ。何よりも痛い。
ビクビクしながらそう言うと、空鶴さんはふんと顔を背けた。
「生きていたのなら、それ以上のことはねぇ。」
そう言って振り向きざまに、ニカッと笑った彼女の笑顔に、ほっと胸をなで下ろした。
「で、てめぇが生きて尸魂界にいること、あいつらは知ってんのか?」
再び厳しい表情をした空鶴さんの言葉に、私は無言で首を左右に振った。
「ルキアを救出したら、現世に帰ります。もう尸魂界には来ないつもりです。」
「…そうか。
でもな、てめぇが思うほど、あいつは甘くねぇぞ。」
「…空鶴さん…。」