強がりばかり抱きしめて
申請はまさかの兄の名前で出されていたが、傍らに私に役目を与えたともかかれていた。
そのおかげで、なにも怪しまれることなく大霊書回廊に入ることができた。
先日、半日かけて自身が集めた過去の事例を読み直したが、たかが力の譲渡で死罪になった事例は一つもなかった。そのうえ隊長ではないものの双極の使用。
そもそもこの一件は最初から違和感があったのだ。
なぜ、朽木白哉がルキアを捕縛にきたのか?兄妹だから?そんなバカな。
通常なら、浮竹隊長や席官が来るはずだ。なぜ朽木白哉だったのか。
その後に続いた、重すぎる罰と、異例ともいえる猶予期間の短縮。
何もかもが気持ち悪い。ごちゃごちゃしていて、不気味すぎる。
そして、何かが引っかかっているんだ。何かを見落としている気がするんだ。
一日中大霊書回廊に、霊圧を消したまま閉じこもり、全ての関連した文献を読みあさった。
隊長の極刑から、隊士の死刑執行。その外の犯した罪。
尸魂界の掟さえも読んでしまった。
そして、あることに気づいた。
最近ずっと五番隊の閲覧が続いていること、刑罰関わることだけではなく、喜助さんの開発したものまで、それは多岐にわたっていた。
なぜ今更喜助さんの開発したものをみる必要があるのだろうか。
五番隊…か。
なんとなく、それが全ての糸口に思えた。
少し探りを入れてみようか。
読んだこと全てを頭にたたき込んだ。それから急いで、大霊書回廊を飛び出した。
外に飛び出した瞬間、一護の霊圧が近くにあったことに気が付くと、行き先を変えて懺罪宮の入り口に向かった。
私が付いたときにはすでに夜一さんが、一護を治療しているところだった。
一護の腹の辺りに、ぼんやりとした光が見て取れる。
「夜一さん。」
「常盤か。
怪我もないようじゃな。」
「えぇ。
大丈夫です。」
「……いったい誰が。」
「更木剣八じゃ。」
「更木…。」
「儂が来たときにはもうすでにあやつの姿はなかった。」
「勝ったんですか。」
「その様じゃ。」
視線を伏せたまま一護の治療をする夜一さんの横に並ぶと、眉を潜め苦しそうな彼を見下ろした。
更木剣八に勝った。
ついに隊長にも勝ってしまった。
つい数日前まで普通の人間だったはずなのに、喜助さんとの鍛錬と、尸魂界に入ってからの戦いで、こんなにも成長したというのか。
この少年の、吸収力と成長に、恐ろしささえ覚えた。
だけどもしかしたら、この人間はルキアを助けられるかもしれない。
と大きな希望の光が見えた気がした。