怖さに震えた夜

「もし、罪だと思うのなら。」
「え?」
ぼそりと呟いた言葉にゆっくりと密着が説き、彼の顔をまじまじと見つめる。
彼はじっと私を見つめそして、そっと頬にかかる髪をすくった。


「傷が。」
「こんなのは、かすり傷だ。どうってことない。それに、名誉の負傷だよ。」

そう頬をかきながらへらりと笑う。
すると目を丸くした彼は、ゆっくりと、頬にできた傷をなぞった。

指がくすぐったくて、反射的に顔を背ければ、そのまま舐めるように傷に口づけを落とされる。

驚いて反射的に彼を見れば、待っていたと言わんばかりに、鼻がくっつきそうなくらい近くに白哉の顔があった。


今度は、近い!


だけど、顔中の筋肉という筋肉を緩ませ、微笑んでいた白哉に言いたいことがたくんあったはずなのに、何も言えないまま見惚れてしまう。

「常盤」
「ん?」

名前を呼ばれ見上げれば、すっと脇に手が入って、そのままぐいっと背中を押されるように体が前に倒れて、再びに体が密着する。

首に触れる髪がくすぐったくて、どこか優しい香りがする。背中の着物がくしゃっと皺になるくらいに掴まれ、肩に額を押しつけてくるとトクトクと心臓の音が聞こえた。


「やっと…。」
「え?」
「なんでもない。」


そう本当に小さな声で紡がれた言葉と、ぐっと背中に回る腕に力が入って、すこし痛い。今は、色んな意味で押しつぶされそうだ。

ただ無言で、ゆっくりと彼の背中に手を回し、羽織りを掴んだ。
そのまま押し倒される、というよりは二人そろって横に倒れこんだ。驚き

布団だったから痛くもかゆくもないものの驚きて声も出ないまま、白哉を見れば何事もなかったかのように、顔にかかった髪を避けそっと頬に触れる。

「寝るぞ」
「え、ここで?」
「不満か。」
「いや…もう一枚布団とか…」
「ない」
「あるでしょ。
こんな広い家なんだから、来客も多いはずだ。」
「こんな夜中叩き起こして、家の者にここまで布団を運ばせる気か?」
「え…」


愕然とする私を無視して、布団を肩にかけ、自分もモゾモゾしながらも定位置についたようだ。

上を向いて何ん考えているのか読めない横顔をちらりと見つめ、同じように上を向いた。


「…おやすみ」
「あぁ。」

そう呟いて目をつむる。
笑ってしまうな。こんなこと想像できなかった。
こんな穏やかな気持ちになれるなんて、知らなかった。


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