どれほどの犠牲が赦される

街のど真ん中で虚が現れてから数日間は、そこら中で虚の気配を感じていた。
それに伴って彼らが学校から出て行く姿が何度も見えた。授業中、お昼休み。義骸を脱ぎ捨てコソコソと二人で抜けていく男女。デートなんて、可愛いものではないことを私は知っている。


三限目の化学が終わった瞬間、問答無用でルキアを教室から連れ出す黒崎。

バタバタといつの間にか黒崎に引っ張られ、私を追い越していく小さな背中を見て、小さくため息を付いた。


またか。
そう思いながらも、私は幾度と見て見ぬ振りをしてきた。
いや、今もし続けているのか。
私は身を隠しさなければならない、向こうの世界に私の存在がバレたくないから。
だから、引き止めるなんて出るわけがないのだ。虚を退治することも、手助けすることも。

だけど、そんなある日。

学校と浦原商店を行き来するだけの毎日の中で、一つ気がかりができていた。
それは、ある日を境に空座町担当死神だと思っていたルキアの霊圧が、感じられなくなったことだ。

黒髪に長い前髪、丸い瞳、小柄な体。常ににっこりと笑う…へたくそな笑顔。彼女はうそをつくことが、とんでもなく下手。
学校での彼女はこうだったが、本当はもっと男勝りで勝気で気が強くて。

顔こそ似てないが、彼女は彼の妹で。
だから、彼女と一方的な再開をした時に、まず最初に思い浮かんだのはあの仏頂面だった。


だけど、その気がかりの原因は直ぐに知ることとなった。


教室を飛び出していったあの姿を見たときから、引っかかっていたんだ。
二人が飛び出していった数分後、今まで感じたことがなかった霊圧を感じていたからだ。
それはルキアではなく、黒崎一護のものだったと分かったとき、あることが頭をかすめた。


そう、それは何を意味するか。

力の譲渡が重罪とされる尸魂界で、それを犯した死神がどうなるかなんて知りたくもないが、もし彼女が何をしたのかが向こうに知れたときなにかしらの刑が下るだろう。


…バレるのが先か…、力を取り戻すのが先か。


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