とろとろに溶けて泥と砂

私は今の高校生に、流行っているものが全く分からない。
だから、少し勉強しようと思う。ぼんやりと外を見るふりをしながら、前の席の女の子たちが話す内容に聞き耳をたてる。

やっぱり女子は年が変わろうとも女子だ。何組の何子ちゃんと何くんが別れたとか、流行りの化粧品、アプリ。


「あ、赤葦また呼び出されてる」
「マジで?今日何回目だよアイツ」
「多分三回目じゃね?ずりーよな、あの見た目と身長だぜ?そらモテるわ」
「いや性格だろ、まず。お前が同じ身長でも絶対モテねーって」
「うっせーよ!」


実に的確な男子諸君の分析に周りの女子達も笑いつつ納得するのを聞きながら、ご飯を口に放り込む。

お隣さんは、どうやらモテるらしい。そういえばお昼休みが始まった時、今日いつの入り口で赤葦くんと女の子とすれ違った。あれはどうやら告白だったということか。
ふわふわログの華奢な女の子だった。ホワッてしていて可愛いなぁって、思ったのを思い出す。



「でも、付き合ったりはしねーよな」
「あ、だな。好きな奴がいるとか聞いたことねーし」
「バレーが忙しいとか言ってんだろ?」
「まぁー、バレー部強いらしいし、ベンチ入りしたらしいし、どうせ断るでしょ。」
「マジか、うわー。」

悲痛な叫び。とは大袈裟だけど、彼らの話によると、赤葦くんはスポーツ万能の人気者らしい。彼からの声色から、妬みつらみのような感情は聞き取れなかったし、赤葦くんのことを認めているようにも聞こえた。

まだ高校生活始まったばかりだというのに、そこまで好かれる赤葦くんていったい…。


「俺がなんだって?」
「おわっ!赤葦!」


噂の本人はいつの間にか告白から戻ってきていたようで、呆れ顔でため息をつくとどかっと自分の席に座った。


「で?で?で?」

つかさず赤赤葦くんの話題で盛り上がっていた男子数名が、面白そうに赤葦くんの周りに集まってくる。


「どうだった?やっぱ告白?」
「お前ら…」
「教えてくれたっていいじゃんかー!」
「…そうだよ」


しぶしぶ赤葦くんは小さく呟いた。


「くわぁ!やっぱりな!」
「あの人2年の可愛いって先輩だろ?なんだよ、あの人も赤葦狙いだったのかよ!ショック!」
「で、どうしたの?付き合うの?」

核心をつく質問に一同が静まる。

「いや、断った」
「…は!?なんで?」
「あの人のために自分の時間は使えない。」
「うわー、うわー!」
「赤葦、お前キツイなぁ」


私も今彼と同じことを思った。
高校生の恋愛なんて遊びみたいな感じもあるし、そのまま結婚する人もいるけど大概は憧れとかで大して長続きはしていたい。私の友人たちも、三年間彼氏が一緒だったことはない気がする。

すでに達観してるわ、この子。


その言葉に特に何かいうことなく、赤葦くんはお弁当を広げている。


「じゃさじゃさ、赤葦って好きな子とかいないの?」
「…今のこところは」


むしゃむしゃと大きめのおにぎりを頬張る赤葦くんの今の言葉で、もしかしたらクラスの女子何名かが歓喜したかもしれない。




Back