梟谷学園高校
やっぱりあのプリントは課題だった。
春休み明けには、簡単なテストがあるようで、なんだかんだでやらないとまずいものだと吉木先生に聞き、私はあの課題をやる羽目になった。
しかも、あのプリント。なかなかのボリュームだったわ。
何度諦めようと思ったか…だってあれ、マジ難しいんだけど!
私立の勉強ってそんなにレベル高いわけ?と切れてプリントを破るところだったよ。
始業式の朝。
届いたばかりの、新品の制服に袖を通した私は、部屋の隅に置いてある全身鏡を目の前にしてネクタイを締めた。
「つか、また制服を着ることになろうとはね。」
まさか、また制服に袖を通すことになろうとは、夢にも思わなかった。
ま、落ち着いた色の制服でよかったよ。これが、セーラー服とかだったらしんでたわ。不幸中の幸いとかいうやつか?
「衣織ー、そろそろ時間よー」
「ほーい。」
今行くよーと、返事し懐かしをスクールバッグを掴んで階段を降りる。
自転車を駐輪所に止めて、7時2分の急行に乗る。通勤ラッシュとはいえ、下に乗る私は、そこまで苦しい思いもすることなく、最寄駅で降りた。
そこから5分も歩けば、梟谷学園高校が見えてくる。同じ制服を着た集団の後をついていけば、間違いなくたどり着くから、ある程度のろのろ歩いていたって平気だ。
おー、ここだここだ。
数日前に訪れた見たことのある校舎に入ると、言われていた通りそのまま職員室に向かった。
「おっ、町田おはよー」
「おはようございます。」
「とりあえず、全校集会の放送が終わったら、紹介するから職員室で待ってて。」
「あ、はい。」
全校集会は放送だけなのか。
確かに、こんなに大きな学校の全校生徒が入るような体育館、私立といえど立てるのは難しいだろうし、必要性を感じない。
あの日のように、会議室に案内された私は、バッグを床に置きぼんやりと窓の外を眺める。
コの字型に設計された校舎の一階にある職員室の窓からは、登校してくる生徒の姿が見えるようになっている。階段を挟んで向こう側には教室棟が、あるらしく渡り廊下を使って向こうに行く。
そして、職員室や特別教室があるこちらの棟から派生して体育館棟へ渡る廊下がある。
そこから体育館が分かれていくのだが、まだよくわからない。
そうなことを考えているうちに、いつの間にか集会の放送が流れ、ダラダラと校長先生の話が流れ、そろそろ終わる頃だというとき、コンコンと背後で壁を叩く音がして振り返れば、吉木先生か手招きをして立っていた。
「そろそろ行くよー」
「あ、はい」
慌てて立ち上がり、スクールバッグを肩にかけると、先生の背中を追って歩き出す。
学級日誌とクラス分のノートを抱えた吉木先生と共に、2階の教室に向った。
「町田衣織です。よろしくお願いします。」
ありふれた挨拶を簡潔に述べ、ぺこりと頭を下げる。吉木先生から他に言うことないのかと言われたけど、「ちょっと思い付かないですね。」ってて答えたら苦笑された。
用意された席はなんと後ろの端っこ。最高かよ。
大人しく席に着くと、先生の話に耳を傾ける。
久しぶりの学校と、この懐かしい空気。出そうになるあくびを噛み殺しながら、今学期初めての出席を取る先生と同級生たちを眺めていた。