体育祭種目2

「え?赤葦?」
「そー。いくらクラスメートでもさ、私アカアシくんと面識ないんだよ。」
「ま、確かに。」

放課後にリレー練習を控えた金曜日。
お昼休みもそろそろ終わりそうな頃、お弁当も食べ終えふと思い出したことを呟くと、オレンジジュースを飲んでいたアリスがクルッと後ろを見た。


「んーと、赤葦はー、…隣の列の一番前の席のやつ」

そう言ってそっとアリスが、指差しのは無表情でかつぼんやりとしながら、友人の話を聞いている男子生徒。うん、そのくらい知ってる。

前の席の男子の話に相槌は打っているようだけど、その表情はさっきからあまり変わらない。周りはゲラゲラ笑っているのに、にこりともしないその表情は、まさにポーカーフェイス。

あまりスポーツマンて感じはしないけど、リレーメンバーになったということは、運動神経がいいのだろう。


「へー」


…どんな人なんだろうか。

「つか、ノート職員室まで持ってかなくていいわけ?」
「あ、そうだったわ。行ってくる」
「いってらー。」



いつの間にか終わりそうなお昼休みに驚いて、教卓に集まったノートを抱え慌てた教室を出て行く。
数とか歩きながら数えればいいか。つか、なんで私に頼むんだよ、真田め。私は数学の担当ではない。


ノートと前方を交互に見ながら職員室に向かっていると、「町田さん」なんて、聞きなれない声で呼ばれたような気がして、恐る恐る振り向けば、一冊のノートを持ったアカアシくんがいた。


「…え、と何?」
「ごめん、俺まだノート出していなかった。」
「え、うっそごめん!」
「いや、忘れてたの俺だし。」

まじかよ。
少し申し訳なさそうに見ている彼に、抱え込まれたクラス全員分のノートを傾け、ここにのせてと無言で促す。

だけど、「上に乗せて?」と言っても、それでも動こうとはしない彼を不思議に思って見上げれば、ノートの束を見ている。不思議に思っているうちに、手が伸びてきてノートをほとんど奪っていった。


「え、ちょっ。」
「職員室まで俺も手伝う。」
「え、いいよ。頼まれたの私だし。」
「部活の用事で顧問に用があったから」
「ちょうどいいと思うけど。」なんて言われてしまえば、ただのいちモブである私に断るすべなんてないわけで、微かに笑みを浮かべた。


「ありがと」
「ん。」


そう微笑んだアカアシくんに、つられて頬を緩めた。


「アカアシくんも、リレーだよね体育祭。」
「うん」
「よろしくー」
「こちらこそ。」
「あのそのよしみでさ、今日の放課後特Bまで一緒に行かない?」
「え?」
「場所わかんないんだよね。」

ヘヘッと笑えば、あぁ、そういうこと。みたいな顔をした彼は、「うん、いいよ。」と頷いた。

「ありがとー」
「その前に部室よっていい?荷物置いてから行きたいんだけど」
「おっけ!」

なんとかこれで特Bに、たどり着けるはずだ。
そして、赤葦くん、なんかいい人そうでよかった。



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