Short story


隣見て、特等席 - りんみお


窓の外で流れていく景色をぼんやりと眺める。宗介が別件で出払っている為、今日は定位置の後部座席ではなく助手席に体を預ける。定位置の助手席ではなく、その隣に座り運転する凛は何だか新鮮だった。

「凛、お前免許持ってたんだな?」
「たりめーだろ、俺だって運転の一つや二つ出来るんだよ。澪だって運転出来るだろ?」
「出来ないとは言っていない」
「何だよそれ」

曖昧かよ、と凛の横顔が笑う。そうだな、と短く言葉を返す。これはこれである意味では特等席かも知れない、横ばかり見ているとしっかり前見とけと正論が飛んでくるかも知れないが。
二人だけの車内はまた、いつもと違うような、でも何処か懐かしいようなそんな感じがした。


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