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ドア側にいた誰かが、数人の先生の声と足音に気がつき静かに隠れろと言った。みんな一瞬で察してそれぞれ隠れ電気を消した。きっとこの部屋が騒がしくて数人で来たのだろう。

ちなみに私はどこに隠れたかと言うと……押し入れの中、です。それも千歳君に抱き締められたかたちで。

これには理由があって、状況はわかったもののどこに隠れようかとあたふたしていた私を見かねた千歳君がこっちだと引っ張ってくれ、そのまま一緒に隠れたのだ。

千歳君はセーフと笑っていたが、私はこの暗闇で抱き締められてる事にパニックになっていた。先生に見つかるとかそんなことはもう考えていなかった。千歳君と密着している、その事実だけが頭でいっぱいだ。とにかくこの状況が恥ずかしくて、少し離れようとするとぎゅっと強く引き寄せられる。

「ごめん、少しだけ我慢してくれん?」

不可抗力だろうが耳元で声出さないでと叫びたいのを必死でおさえる。暗闇で良かった、今の私は顔だけじゃなく全身真っ赤に違いない。ただこれだけ密着していれば体温で千歳君にはバレバレかもしれない、そう思うと少しだけ涙が出た。恥ずかしいから離れたいけど、千歳君のぬくもりが心地よくて離れたくないという矛盾した気持ちもある。

自分だけだろうか、こんなにもドキドキしているのは。そう思って千歳君の様子をうかがうと、ぷるぷる小刻みに震えていた。

「千歳君?」

「はは、なんね?」

どうやら笑っていたようだ。

「なんで笑ってるん?」

「なんでんなかばい、それよりみょうじさん」

「なに?」

「なんでそぎゃんドキドキしとっと?」

「……え」

「体熱かしすごかドキドキいっとるばい」

「そ、そんなことない!」

そこはわかってしまっても知らないフリをするところだと思う。まさか聞かれると思っていなかった私は、恥ずかしさもあって過剰に反応してしまった。

「んっ」

思わず大きな声を出してしまって口をふさがれた。千歳君の唇で。いわゆるキスだ。

「し〜……」

暗闇に慣れてきた今、彼が目の前にいてその表情もハッキリわかる。ちょっと意地悪に笑っている顔。千歳君そんな表情もするんだ。

「ね、なんで?」

「そ、それは、その……わ、わた、わたし!」

もうこの際、言ってしまおうか。でも、なんて?好き、かもしれないって?ちよに言われてそうかもしれないって思ってる、なんて適当で曖昧なことなんて言えない。悩んでいると、光が差し込んだ。


スッ……


そこには鈴木君がいた。

「あの〜盛り上がってるところ悪いんだけどさ」

「は、はい!!!」

「もうみんなも帰ったし、もっと広い所で続きをどうぞ……」

「ごめんなさい!すぐに出ます!!!」

どこから聞かれていたのかわからないけどすごいすごい恥ずかしい!!!私は千歳君を引っ張りだし慌てて飛び出した。彼が止めに入らなければ私は何を言っただろうか。きっと雰囲気に流されて、余計な事まで言ってしまっていたに違いない。



ある程度歩いたところで先生に見つかってもマズイし、「おやすみ」と一言だけかわしてすぐに部屋へ戻った。するとちよが興奮した状態で近づいてきた。

「おかえり!どうやったん?どうなったん?」

どうやら中々帰ってこないから、千歳君と何かあったのではないか、と期待して待っていたらしい。鈴木君がペラペラ喋ったのでは、と一瞬疑ってしまったことを心の中で詫びた。私は先生が部屋にやって来たところから、今に至るまでのいきさつを話す。

「やったやーん!間違いなく両想いやん!おめでとう!!!」

ちよはこれでもかってくらい喜んでいた。照れ臭くなった私はもう寝ようとベッドへ潜り込んだ。でも思い出すのはさっきのことで、中々寝付けなかった。お互い好きだなんて言ってないし、私の男の人に対する免疫がなさ過ぎて面白がっただけかもしれないし、というマイナス思考に、こんなこと考えるってことはやっぱり好きなんだなって自覚した。だって、もし密着したのが他の人ならドキドキなんてしないし、はやく出たいって思ったに違いない。でも、もし、本当に千歳君も私のことを好きなら良いのにって思った。


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