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次の朝は早くに先生達に起こされて、慌てて着替え大広間へ行く。朝食は純和風で朝からでも食べやすい内容。あの後、充分に寝れず寝不足だったので、とてもありがたかった。そしてみんなでバス移動をし、そこからグループに別れて観光の時間が始まった。ちよが気を遣ってくれてらなるべく千歳君との時間をつくってくれたのだが、相変わらずマイペースなもので今までと同じ距離感。

結局、修学旅行で二人で過ごせた時間はあの時だけだった。

あまりにあっさりした時間だったなと少しテンションの低い私に、ちよは修学旅行って団体行動やからしゃーないよ、と励ましてくれた。

しかし修学旅行も終わり、家に帰ってからも連絡はこないし学校でも特に変化はない。自分から連絡とれば良いやん、とちよに言われた。私が一人良いように早とちりしていただけだとしたら、そう思うと連絡なんてとれなかった。

修学旅行前と同じ、というよりは前よりも関わりが少なくなってしまった。なんせ千歳君はふらっと来ては、ふらっと帰ってしまっているからだ。

あの夜の出来事は夢だったのか。いつもと違う空気にテンションが上がっていただけで深い意味はなかったのか。両想いなのかもと思っていたのは自分だけなのか。

不安になる要素がありすぎて泣きそうだ。大体にして私は彼に好きだと伝えていなければ、彼から好きだとも言われていない。ただその気があると勘違いするような言動があっただけ、私が一人で舞い上がっていただけなんだ。

夜って不思議で嫌でもネガティブになってしまう。このままでは自分の事が嫌いになりそうで、無理にでも寝ようとした時に携帯の着信が鳴った。


ディスプレイには『千歳君』と表示されていた。

着信は電話を意味していて驚いた私は、少し反応が遅れてしまう。

「はい」

『もしもし、寝とった?今大丈夫?』

「大丈夫やで、どないしたん?」

『明日あいとる?』

「うん特に何もないよ」

『じゃあ明日お昼くらいからブラブラせん?』

「ええよー」

『ん、時間と場所は後でメールする、おやすみ』

私もおやすみと返すと電話はすぐに切れた。すぐにまた携帯からメロディが流れる。開くと千歳君からのメールだった。明日についての詳細が簡潔に書かれていた。

ブラブラって千歳君っぽい。適当に思うままにふらつくのかもしれない。自分ではしないことだから楽しそうだなと思った。でも千歳君はどういうつもりで私を誘ったのか、それが気になった。けれど嬉しいのはかわりないので、夢じゃないよね本当に千歳君だよね、と何度もディスプレイを開いて着信履歴の名前と時間を確認した。



翌日は早く目が覚めてしまい、どんな服を着るか選んでいた。たくさん歩きそうだから、スカートはやめて動きやすい格好に靴の方が良いけど可愛くなるようにしたい。気がつけばベッドの上は服で埋め尽くされていた。髪型も気合いを入れて少し複雑なものにしてみる。
私よりも遅くに起きてきた母が朝食を用意してくれ、私の格好を見るなりデート?と聞く。

そんなんやないけど、なんとなく。そう答えたがデートと思われたのが恥ずかしいわけではなく、デートだと思い上がらないように自分に言い聞かせたのだ。


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