これも青春5

昨日はちょこちょこと会話があったものの、今日はない。みんな疲れが出始めているっぽく、水分補給して少し一息ついてまた練習に戻っている。わかるわかる、水曜日ってまだ半分もある〜って無駄にしんどくなるんだよね。月曜日は始まってしまった感あるけど。月水ってしんどい。金曜日はやったー土日がくるーって元気でるのに。マネージャーやってる間は土曜日も登校になるんだけれども。それでも午後からはフリーだしな。しかしあれだな、うん、あれだ。

「やっぱりスパルタなのね」

無理矢理マネージャーにさせられてから三日目です。今日は仕事の3/5個目を教えてもらい、作業中である。つまりは、一週間で仕事をまるっと覚えろ。更に言えば、その日教えてもらった仕事は次の日にできて当たり前。そんな状況に置かれております。毎日全ての仕事をするんじゃないけどさ、昨日のボールチェックは月一あるかどうかだし。毎日やる仕事って決まってるんだけどさ。それでもさ、スパルタと言わずなんて言うんだよ。これが普通だとか言われたらやっぱり選ぶ相手間違えたんだよって言えるんだけどなあ。いやでも文句言いつつこなせてるからやっぱり正解なのか。私優秀すぎるよな。

「それでもさああああああ」

ついていけるけど、さすがに疲れてきたよ。まだあと2/5残ってるのかー。それで全部でそれを毎日朝と放課後やるのか。絶対にしんどい!!!なんで私一人でやらせるかな!絶対に人数増やすべきだと思う!

書類整理が終わったので、こっそり持ってきた一口サイズのチョコに手を伸ばしながら一息。それにしても……イジメがおこらなくて本当に良かった。テニス部は人気高いらしいからな。よく何年何組の誰が誰に色気つかっただの、媚び売ってるだの、出し抜いたから呼び出しくらってただの、それはもうたくさん聞いてきた。同性ながらに女って怖すぎだろと思った。でもそれを自分の推しとわけのわからないモブがでしゃばっていたらと置き換えてみたらなんとなく理解できそうで怖くて考えるのをやめた。

ちよが言うには初日の時、何故か女がコート内にいるだけでなくみんなと会話しているのを見て、『あの女マネージャーやってる』と目をつけられたらしい。いっちょ焼き入れるかって話までなったんですって。でもよくよく見るまでもなく私が嫌々やっているのが誰から見てもわかるらしく、様子を見ようってことで今のところ無事らしい。こわいこわい。

嫌々に決まってるじゃん、授業終わったらさっさと帰りたい精神しかない帰宅部の鏡なのに。でも思っていたよりはちょっと、本当にちょっぴり楽しんでいる。それに、あれ?かっこいいかも?って思う時も、悔しいがある。ただ確かにきゃっきゃうふふ感はない。イケメンのみんなのお世話しちゃうぞとか、みんなかっこいいよ頑張って〜とか、ないもんね。うん、ない。これが二次元が三次元になった〜リアル最高〜とかなるときっといじめられるんだよ。

「はあ……」

「みょうじ、ため息つくと幸せが逃げるぞ」

ふと聞こえた声に慌てて吸い込む。

「すうううううううううううはあはあはあはあ」

「なかなか頑張っているな」

「柳か、まあまだ三日目だしね」

「三日目で愚痴を言い出して、一週間目でもう辞める、と根を上げる可能性86パーセント」

うぐ。確かにちょっと声に出たりもしながら心の中では愚痴ってたし、とりあえず一週間だけと自分の中で決めていた。さすが柳、噂通りのデータマン。

「ねえ柳〜」

「マネージャーを増やさないのか、とお前は言う」

「え?あ、うんそうだね。レギュラーだけとは言えずっと一人ではきつい」
好きでやってるわけじゃないし心身共にきつい。ぼそぼそと答えると困ったような表情になった。

「あれで幸村にも考えがある、もう少し耐えてくれ」

「どんな考えかわからないけど、まあ少しなら……」

「そうか、助かる」

ほっとした様子で、微笑みながら頭をぽんぽんとされた。そしてそのまま去って行った柳。


な、なんだ今のは!?普段笑わない彼が微笑んだ!?更に頭をぽんぽんとしていった!?

ま、まじかよ。


「う、うううわあああああ!!!!」


事を理解した私はテンパって叫んだ。

そして煩いと真田から注意をうけるのであった。




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