柳生君との会話で、そっかそっかーと気持ちが軽くなった。今なら仕事がはかどる!私、単純だから!るんるん気分でボールをせかせかわけていると、頬っぺたに冷たいものが当たった。
「ぬあっ!?」
「うおお、ビックリした」
「私が先にビックリした!」
「わ、悪い。休憩しろよ、ほら」
渡されたのは冷えたスポドリ。うん、私が作ったやつ。
「それ、ボトル新しいだろ」
「そういやそうだね」
「幸村がみょうじに買おうって言ってさ」
「え〜〜〜〜」
「本当だって、まあ部費なんだけど」
「ですよね」
ありがたくちょうだいするとなんだか体がスッキリした。五月とはいえすでに暑い。外にいるだけで体力使うんだな。思っていたより水分抜けていたし暑さにバテていたっぽい。ボトル一本多いの気づいていたけど予備かなって思っていた。まさか私のだとは。しかも私の好きな色。私のこと知っていると言っていたのは嘘じゃないんだな。ほら、なんだかんだ真面目に仕事してるわけだし、本当見る目あるわ。
「まあこれだけの人数いると人を見る目って自然とつくよね」
「どっから現れたの!?」
「普通に来たよ」
「ていうか心読みすぎこわすぎ」
「読むまでもなく顔にだしすぎなんだよ」
「なん…だと……」
私がわかりやすいだけだった。別に幸村君に人外なパワーはなかったのか。なんだか少しガッカリだけど、読まれるのは怖いから普通の人で良かったな。
「ほら、なんか失礼なこと考えてる顔」
「ひいっ!とんでもない!」
自覚がないのでとりあえず両手で顔を隠した。
「それじゃ仕事できないでしょ」
「はい……」
お面を買ってこなければと強く思った。黙々と作業を開始するといよいよラスト一個になった。うおおおおこれが終われば部室に避難できるうううう!最後の一つを高々と天に向けていると困惑した声が聞こえてきた。
「それは、なにをしてるんだ」
「やっとこの作業終わるんだよー!」
「それとこれと何も結びつかない」
「嬉しいってこと!」
「みょうじは嬉しいとボールを空にむける、と」
「いやメモしなくて良いから、しかもなんか違う」
そう言うとふっと笑われた。あ、からかわれていたのか。まあいいや終わった終わった!さーて片付けよう、ボールの入ったカゴを持とうとしたら柳君に止められた。
「置いておけ」
「え、でも」
「力仕事は無理しなくて良い」
「おっけ!まかせた!」
いやいやでも、いやいやそんな、こういうやり取りはめんどくさいので相手がそう言うなら任せるのが一番だ!じゃああとは部誌書いてくるわ、と冷房の効いている部室へ逃げ込んだ。
みんなの意外な一面を見れて不覚にもキュンとしたけど早く帰って二次元に癒されたいという一心で今日の仕事も無事やり遂げました。
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