70


『好きです』
『冨岡さん、好きです』

彼女が言う。しゃくりあげながら、俺の目を真っ直ぐ見据えて。土砂降りの雨の中、零れ落ちる涙を拭おうともせず。
その言葉がにわかに信じ難く、聞き間違いかと疑った。それと同時に、確かに彼女自身の声で紡がれたその言葉に、心臓がどっと激しく震えた。

『私、冨岡さんが言う程か弱くないです!!』

その通りだと思った。大事にしまって傷をつけないように、鍵をかけて、そうやって守るべきものだと思っていた。
けれど彼女は、俺が思っているほど弱くなどない。そんなことは、本当はずっと前から分かっていた。
身寄りがなく、大切な友を失いながらも、彼女は今日まで己の足で立って生きてきたのだ。
愚痴ひとつ零さず、むしろ誰かのために手を差し伸べる。意外にも肝が据わっていた。

か弱いから。放っておけば何をしでかすか分からない危うさがあるから。守ってやらなくてはならない、保護すべき対象だから。
…いや。その大義名分がなければ、自分が彼女を気にかける全てに説明がつかなくなってしまうからだ。

人はなぜ、自らを傷つけると分かっている刃をわざわざ握ろうとするのか。誰かを大切に想うということは、自ら急所を差し出すのと同じことなのに。
想いが深くなれば、失う恐怖が生まれる。守れなければ、無力さに苛まれる。
あと半日早ければ。あと数刻、あと数分早く駆けつけていれば。俺がもっと早くから鍛錬に励み、まともな力をつけていれば、守れたはずの命があったというのに。
間に合わなかった無数の後悔が、今も夜毎、俺の首元に刃を突き立ててくる。
そうして最後には、残された痛みに身を焼かれて灰になるのだ。ならば最初から何も持たず、誰とも関わらなければいい。

――逃げるな、と。言わなければ分からないから、お前の考えていることを教えろと。
あの日、彼女の手首を掴み、そう迫ったのは他ならぬ俺自身だった。いつも寸前で誤魔化す彼女に苛立ち、知りたいと願って踏み込ませた。

『あなたを、お慕いしています』

その結果が、これだ。彼女は約束通り、逃げなかった。俺の目を真っ直ぐに見据え、その心を差し出してきた。

――そこでようやく気づく。逃げていたのは、俺の方だったのだと。
守るという免罪符を盾にして、その温もりに縋りついているのは俺の方だった。彼女に投げかけてきた言葉たちは、自分の本心を隠すための言い訳にすぎなかった。

『お返事が欲しいわけでも、何かを求めているわけでもなくて……ただ、誰よりも温かくて優しいあなたのことが私、す』

思考よりも先に、身体が動いていた。引き寄せる加減すら忘れ、彼女の言葉を塞いでいた。
鬼の頸を落とすためだけに鍛え上げてきた自分の手には、あまりにも不釣り合いな温もりだった。それなのに、一度重ねてしまえば、二度と離すことなどできない。
愛しいと、思ってしまったのだ。

『冨岡さんは優しいです』

そうやって、高月は俺がどうでもいいと捨てたものを、綺麗に埃を払って差し出してくる。
俺がいらないと言っても、そうするのが当然みたいに、大事にする。だから堪らなくなって、我慢ならなくて。

眩しかった。欲しかった。手に入れたいと願ってしまった。
このまま閉じ込めてしまえば、二度と失わずに済むのではないかとさえ思った。

しかし、手に触れた彼女の涙で、一瞬で我に返ったのだ。
俺は、今、何をしようとした。息を呑み、抱き寄せていた腕の力を抜く。
泣き腫らした瞳、濡れた髪、そして俺が乱暴に奪い、赤く腫れあがらせてしまった唇。
…欲望に任せて人を喰らう、あの鬼共と一体何が違う。感情の制御もできない俺は未熟者だ。

「お前が何を考えているのか教えろ」と偉そうに言っておきながら、いざ彼女に心をすべて晒け出された瞬間、自分は何をしているのか。
受け止める度量も、幸せにする資格もないくせに。

『……すまない』

自分から強引に奪っておいて、出てきたのはあまりにも身勝手で、救いようのない言葉だった。

『高月、すまなかった』

酷い男だと軽蔑してくれればいい。いっそ罵倒して嫌ってくれればいい。
俺はその程度のやつだ。お前が想うような立派な男ではない。
分かってる。手を伸ばしたくても伸ばせない。伸ばしたって届かない。また失うことを考えている自分は、酷く臆病で空っぽだと。
そうやって彼女の気持ちを踏みにじることでしか、俺は彼女を遠ざける術を知らなかったんだ。









「お、さっき鴉飛ばしたばっかなのに早かったな。すっ飛んで来やがったか」
「……どうしてそうなった」

あえて宇髄の軽口を無視し、目の前に広がる惨状へと視線を落とした。

「いやー、いける口かと思ったんだがな。思いのほかすぐ潰れちまいやがった」

悪びれもせず笑う宇髄の隣で、酒器や皿が座卓の上で雑多に散らばっている。
その中央、畳の上に転がるようにして丸まり、座布団を抱き抱えて眠りこけている高月の姿があった。
…これは一体、何の冗談だ。頭痛を覚える光景を前に、一度息を吐き出し、親指と人差し指で眉間を強く揉みほぐした。

今夜の単独任務を手早く片付け、見回りを兼ねて帰路についていた頃。ふいに頭上から降りてきた宇髄の鴉が、突然一通の文を落としていった。
走り書きのような派手な字で、そこにはこう記されていた。

『高月が俺の屋敷で酒を呑んで、派手に出来上がって爆睡中だ。夜も更けたし蝶屋敷へ送り返したいが、足腰が立たねぇ。
というわけで冨岡、今すぐこいつを回収しに来い。』

…いや、なぜ。なぜ、俺が呼ばれなければならない。
そしてなぜ、彼女が宇髄の屋敷にいる。なぜ、酒を口にしている。
人手が必要なら蝶屋敷に繋ぎを取り、隠を呼べば事足りるはずだ。元より俺が出る幕ではない。無視して本部に足を向けるべきだった。
だが、文の末尾の一文が、どうしても足を引き止めさせた。

『放っておくと、酒の勢いで何をしでかすか分からんぞ。』

…何を言っているんだ、あいつは。伴侶が三人もいて、何をしでかすかも何もあったものではないだろう。女の手など余るほど足りているではないか。
けれど、くだらぬ脅しだと切り捨てることもできず、のこのこと足を運んだ結果が、これだ。
からかいを含んで片眉を吊り上げる宇髄の顔を見ていると、やはり来るべきではなかったと、今更ながらに後悔した。

「……蝶屋敷へ連れて帰る」

ため息交じりに短く告げ、俺は眠りこける彼女の前へと膝をついた。

「こいつは一度眠るとなかなか起きない」
「……へぇ。なんでそんなこと知ってんのかね、水柱さんよぉ。二人きりの夜でも過ごしたってのか?」
「………」

俺は宇髄の言葉を完全に聞き流し、彼女の背に腕を滑り込ませた。そのまま引き寄せ、背中へと担ぎ上げる。
驚くほど軽い。首筋に触れる息遣いが、微かな酒の匂いとともに規則正しく繰り返されていた。

「次からは、こいつに酒を飲ませるな」
「悪かったよ。初めて飲むっつーからこっちも手加減はしたんだがな、想定以上に弱かったらしい」

初めての酒だったのか。
俺は背負い直した彼女の膝の裏に、無意識に力を込めていた。宇髄の言い分から察するに、無理強いはしていないのだろう。だが、最初から飛ばしすぎたのか、あるいは体質的に受け付けないのか。

「お前が誘ったのか」
「誘いに乗ってきたのはその嬢ちゃんだ」

初めての経験というものは、人生で一度きりだ。それをこんな、本人の記憶にも残らないような形で捨ててしまう彼女に、なぜか苛立ちが募る。
ふと視線を落とせば、彼女のすぐ近くで、宇髄の嫁たちまでもが、呑み潰れて畳の上に折り重なるように転がっていた。
女の手など余るほど足りているはずだと思ったのは、完全に間違いだったらしい。揃いも揃ってこれでは、使い物になるはずもなかった。

息を吐き出し、彼女たちを踏みつけてしまわないよう、足の踏み場を選びながら畳を跨いでいく。
抱え直した背中の重みを感じながら居間を抜け、薄暗い廊下へと歩を進めた。
背後から、宇髄が音もなくついてくる。

「世話になった」

土間に降り立ち、草履に足を入れる。背中で彼女が身じろぎをしたため、ずり落ちないよう、もう一度その身体を背負い直した。
ここに長く居座る理由もないと、手短に礼を告げ、片手で格子戸を引き開けようとしたその時。

「惚れてる?」

背後から投げかけられた言葉に、足が地面へ縫い付けられたかのように止まった。

「………」

返す言葉が見つからない。何を言っても今の状態では説得力を持たないことを、俺自身が一番よく理解していた。

「惚れてるんだな」

宇髄の声が、確信めいた響きに変わる。

「そうか、そうなんだな。お前は本当に大切なものに限って『好き』って言えないタチか」

そうではない、が言えなかった。
そうだ、もう認める。俺はこの娘に惚れているよ。
自分の意志で引いたはずの境界線を、鴉の知らせ一つであっさりと踏み越え、居ても立ってもいられず飛んできてしまう程には。

「……言えない、じゃない。言わないだけだ」
「へえ。あれか。これ以上大切なものを失いたくなくて、自分の懐には入れたくないってところか」

図星を突かれ、奥歯を噛み締める。
手に入れなければ、失うこともない。誰とも心を通わせなければ、喪失の痛みに狂うこともない。

「つまんねぇ意地だな。明日生きてるかも分かんねぇのに」

つまらない意地。
その通りなのだろう。明日鬼に殺されるかもしれない身で、今日伝えられる言葉を飲み込み、背を向けるなど、生に執着する男から見れば滑稽でしかない。
けれど。明日死ぬかもしれないからこそ、俺は言わないのだ。死にゆく自分の手の中に、この温もりを道連れにすることなど、到底できない。

「その嬢ちゃん、酔った勢いで少し気になることを口にしてたな。『自分はこの時代の人間じゃない』とかなんとか。……派手な世迷い言だが、お前、何か知ってるか?」
「知らない」

即座に否定したのが、よくなかっただろうか。宇髄が片眉を上げる。
彼女のその言葉がただの戯言などではないこと、そして彼女が抱える途方もない孤独の理由を、俺はなんとなく気づいていた。
だが、宇髄のような鋭い男に余計な詮索の隙を与えるわけにはいかない。

「……他には、何か言っていたか」

わずかに首だけを傾げ、背後の宇髄へ視線を投げかける。

「いいや?そんだけだけど。あとはわけの分からん歌ふにゃふにゃ歌って、あっという間に寝落ちたな」
「そうか」

短く息を落とす。
だから酒など、他の男の前で口にするべきではないのだ。自分の素性も、話したがらない秘密も、たがが外れれば容易く零れ落ちてしまうというのに。
男のいる酒席で無防備に意識を手放すなど、あまりにも危機感が欠如している。

「安心したようなツラすんなよ。二人だけの秘密を共有してるってか?」
「そんなものはない」
「へぇ。まあ、お前がその気なら突っ込みはしねぇけど。……嬢ちゃん、相当溜め込んでた面構えだったぜ。だから俺の酒なんかに手出したんだろ」

宇髄の低い声が、背後から静かに突き刺さる。

「何かに追われてんのか、それともどっかの誰かに手ひどく振られてやけっぱちになってたのかは知らねぇがな」

挑発するように細められた赤茶の瞳が、暗がりの中でぎらりと光った。
手ひどく振った張本人は、他ならぬ俺自身だ。そうだ。俺が、彼女を傷つけたのだ。身勝手な拒絶の言葉で突き放し、泣かせたのは俺だ。
普段なら決して口にしないであろう酒に逃げ、他人の屋敷で呑み潰れてしまうほど、彼女を追い詰めた。

「……これ以上、こいつに余計なことを吹き込むな」
「吹き込んでねぇよ。俺はただ、酒と場所を提供しただけだ」

何も言い返せなかった。
俺は口を閉ざしたまま、片手で格子戸を引き開ける。彼女の膝裏をしっかりと支え、外へと足を踏み出した。

「引き取るなら、最後までちゃんと責任持てよ。水柱」

背後から投げられた声に、返す言葉など見つからないまま。俺は振り返れなかった。






「んぅ……あいす、食べる……」

耳元で、ふにゃふにゃとした間の抜けた声がする。
彼女が背中で身じろぎをすると、小さな子供のように吐息を漏らし、俺の肩口にぐりぐりと額を押し当ててきた。

「あいす?」

あいすくりんのことだろうか。一緒に食べに行ったあれ、か。
…随分と呑気なことだ。加減をしたと宇髄は抜かしていたが、こうやって寝惚けさせるために、面白がってわざと強い酒を飲ませたのではないか。そうとしか思えなくなってくる。
夜の冷気の中、背中から伝わる熱と、首筋をくすぐる息遣い。

「何かあったらどうするつもりなんだ」

返ってくるのは健やかな寝息だけ。
分かってはいたが、小さく息を吐き出す。

「俺がどんな気持ちで迎えに行ったのか、お前は少しも知らないのだろうな」

あまりにも無警戒で、無防備すぎる。
どれほど肝が冷えたか。鬼を前にしても乱れることのない平穏を、こんなにも容易く掻き乱すのはお前くらいだ。
林を抜ける風の音を聞きながら、夜道を歩き進める。このまま蝶屋敷まで大人しく眠っていてくれればいい、そう思っていた矢先。

「ぅ……きもち、わるぃ……おりる……」

弱々しい身じろぎとともに、掠れた声が聞こえた。思わず足を止め、深く深く息を吐き出す。

「起きたか」

首だけを動かし、背後へ問いかける。しかし、肩越しに見えた彼女の瞳は虚空を彷徨うばかりで、焦点がまるで合っていない。

「まだ寝ぼけているな」

だが、本人が気持ち悪いと口にしている以上、このまま無理に背負って揺らし続けるわけにもいかないだろう。
道端を見渡すと、ちょうど腰掛けるのに手頃な平たい岩がある。彼女の身体を慎重に下ろし、その岩の上に腰掛けさせた。
ぐらりと傾きかけた肩を慌てて支え、俺はその前に片膝をつき、赤く火照った顔を覗き込む。

「とりあえず、水を飲め」

少しは楽になるはずだと、腰から竹筒を外し、蓋を開けて彼女の唇へと寄せた。慎重に傾けると、彼女は促されるまま、こくりと喉を鳴らして水を飲み下していく。
頭を支えようと後頭部に手を回した時、彼女の髪飾りが目に入った。初めて見るものだった。蝶屋敷の娘たちが身につけているものと同じだ。

「ん……」
「飲めたか」

喉を潤したことで、幾分か頭の靄が晴れたのだろう。伏せられていた睫毛が震え、彼女は眩しいものでも見るように、何度か瞬きを繰り返した。
そうして、目の前にいる俺を捉えた瞬間。

「とみおか、さん……?」

夢でも見ているかのように、その瞳を大きく見開いた。

「会い、たかったです。ずっと……会いたかった……」

絞り出すような声とともに、彼女の瞳から大粒の涙がぽろぽろと溢れ出す。
瞬間、支えていた俺の胸へと、彼女はぽすりと顔を埋めて倒れ込んできた。咄嗟のことに身を引くことすらできず、俺の身体はそのまま硬直する。

「高月」
「ふぇ、……っ、ぐす……」
「……高月」

幾度その名を呼んでも、嗚咽は止まらない。俺の隊服を握りしめる指先が、小さく震えている。

「泣くな、高月」

どの口がそれを言う。決まっているだろう。俺がそうさせたんだ。彼女を傷つけて、全部終わらせてしまったんだ。
それなのに、会いたかったと泣くのか。こうして縋りつかれて、歓喜を覚えてしまう己が酷く浅ましい。
俺がつけたその傷は、一体どれほど持つ。いつか傷が癒えれば、他の誰かのところへ行くのか。
ならばいっそ、癒えない傷のままずっと残ってくれればいい。

俺は分かっていなかった。彼女を突き放したところで、自身のこの想いを殺しきれなければ、何の意味もないということを。
彼女が欲しい。それは前も今も変わらない。しかし俺は、前よりもっと欲深くなっている。
震えながら俺にしがみつく彼女の背に、迷いながらもそっと片手を回す。

「顔を上げろ、高月」

促すと、彼女は胸元からゆっくりと顔を離した。赤く腫らした瞳で、ぼんやりと俺を見下ろしてくる。

「……ほんもの、ですか……?」
「本物だ」
「ゆめ、じゃない……?」
「夢ではない」
「どうして……ここに、いるんですか……。わたしを、嫌いになったんじゃ……」

呂律の回らない舌足らずな問いかけが、まっすぐに胸を抉る。
嫌いになど、なれるはずがなかった。なれるものなら、最初からこんなにも苦しんではいない。

「嫌ってなど、いない」
「うそつき……」

ふにゃりと眉を下げて、彼女は小さく笑う。
もう、理性が焼き切れそうだ。後ろは絶壁、前には広大な海が広がるばかり。飛び込んでしまえれば、どんなに楽だろうか。
いいよ、おいで、と。俺を受け止めきれるはずもないのに、この娘はいつもそうやって両手を広げてみせるのだ。

「……すまない」

低く落ちた言葉は、自分に対する呪詛か、それとも彼女への言い訳か。醜くも膨れ上がったその独占欲を、もはや押し留める術など持ち合わせていなかった。
顔を近づけると、目の前にあった首筋へと唇を落とす。

「っ……ん、」

微かな摩擦に、彼女が小さく声を漏らした。その甘い掠れに、衝動のまま、細い首筋の柔らかな皮膚を強く吸い上げる。
刻みつけた痕からゆっくりと唇を離し、顔を上げれば、すぐ目の前に彼女の唇があった。
取り返しのつかないところまで踏み込んでしまえば、手放す口実すら失くして、ずっと手元に置いておけるのではないか。そんな歪んだ飢えが、あとわずかの距離を埋めようと身体を動かす。
しかし、不思議と胸の高鳴りはなかった。涙で揺れた瞳が視界に入って、ただただ胸の奥が痛いだけだった。

「とみ、岡さん……?」

…頼むから、そんな顔で泣かないでくれ。これ以上、酷くできなくなるじゃないか。
笑っていて欲しいと願うのと同じくらい、俺のせいで泣いて欲しいと思っているはずなのに。そんな風に泣かせたいわけではなかった。
手に入らないなら壊してしまえと、他の男に奪われるくらいなら汚してしまえと。どこまでも独り善がりで、度し難い。
守りたいと言いながら、誰よりもこの娘を脅かしているのは俺自身だ。

「すまない。……全部、やめる」

こんな方法でしか手放してやれなくて、ごめん。




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