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「痛っ、痛い!痛いです、しのぶさん!」
「はいはい、動かないでくださいね。針がずれてしまいますよ」
診察室の寝台の上で、敷布をぎゅっと握りしめながら冷や汗を流す。
雪くんに連れられて屋敷へ逃げ込んだあと、すぐに診察室へと通され、今はしのぶさんと二人きり。足首の深い傷を、数針だけ縫合してもらっている最中だった。
一応、局所麻酔のような薬を塗ってから縫ってもらってはいるけれど、それでも信じられないくらい痛い。
大正時代の医療技術の限界なのか、それとも現代の麻酔薬と比べたら成分や純度が違うせいなのか。未来の手厚い無痛処置に慣れきった身体には、涙が出るほどの激痛だった。
「本当に、鬼に出遭ったのにこれだけで済んで良かったですよ」
しのぶさんは一切手元を狂わせることなく、涼しい顔で針を進めながら言う。
「それは……っ、本当にそう思います」
奥歯を噛み締めながら、絞り出すように頷いた。
あの鬼の姿を思い出せば、五体満足でこうしていられること自体、奇跡以外の何物でもない。
「ふふ、生きてるって痛いんです。どうです?生きている実感は」
「痛いし、全身筋肉痛だし、身体も熱いし、もう散々ですけど……でも、そうですよね。死んじゃったら痛みも何もないですもんね」
「その通りです。痛がれるのはあなたが命を繋ぎ止めた証拠ですからね」
しのぶさんは目を細めて微笑むと、最後に糸を器用に結び、パチンと小さな鋏で切り落とした。
傷口を清潔な布で拭い、手慣れた所作で包帯を巻いていく。
「少し足首を動かしてみてください。皮膚が引き攣るような違和感や、突っ張る感じはありませんか?」
言われるがまま、おそるおそる爪先を上下に動かしてみる。
縫い合わされた皮膚が引っ張られる痛みに、思わず顔をしかめた。
「……ちょっと、突っ張る感じはあります。でも、さっきよりはずっと動かしやすいです」
「感覚に異常はないようですね。抜糸をするまでは、激しい運動はもちろん、走るのも禁止ですよ。せっかく塞いだ傷口が開いてしまいますからね」
「は、はい。分かりました」
首を縦に振ったものの、私ってそんなに無茶をするように見えるだろうか。
言いつけを破って暴れたり走ったりした覚えなんてないはずなのに、妙に念を押されてしまった気がして、なんだか少し気まずい。
「さて、傷の手当てはこれで終わりです。ここからが本題ですね」
しのぶさんが視線を流した机の上には、すでに小瓶や薬包がいくつか並べられていた。
彼女は私の首筋にそっと指先を滑らせ、熱の具合を確かめるように触れてから、椅子に腰を下ろす。
「冨岡さんから、粗方話は聞いていますが……。無理のない範囲で構いません。何をされ、どんな感覚があったのか、聞かせていただけますか?」
昨日の記憶を手繰り寄せながら、私はぽつりぽつりと口を開いた。
これまで薬屋を訪れるたびに、店主から勧められて口にしていたお茶のこと。
毎回のように身体がほんのりと温かくなり、心地よい脱力感を覚えていたこと。
そして昨日、いつもよりわずかに濁った色の甘いお茶を一口飲まされた直後、急激な眠気に襲われ、意識を手放してしまったこと。
目が覚めたあとも、しばらく手足に力が入らなかったこと――。
震えそうになる声をなんとか抑えながら、思い出せる限りのことを言葉にして伝えた。
しのぶさんは私の拙い説明を途中で遮ることなく、静かに耳を傾けながら、手元のカルテへ万年筆を走らせていく。
「そう言えば、藤堂さんが山で採れる野草を少し入れているって言っていました。冷えた身体にはそれが一番効くんだ、って……。嘘かもしれませんけど」
あの蔵でも、男たちがあれこれと言っていたような気もするけれど、あまり思い出せない。
恐ろしくてそれどころじゃなかったのは確かだ。でも、解毒の手がかりになるのなら、もう少し断片的にでも聞いておけばよかった。
しのぶさんはカルテに目を落としたまま、何かを吟味するように指先で顎に触れていたが、やがて顔を上げた。
「冨岡さんが薬屋に吐かせた情報と繋ぎ合わせると……おそらく
「まん……?」
聞き慣れない難しい単語に目を瞬かせる。
「少しずつ感覚を鈍らせる程度の極微量が混ぜられていたのだと思います。そして昨日は、抵抗を奪うため一気に濃度を上げて飲まされたのでしょう。今出ている熱や倦怠感は、薬が体内から抜けようとする反動と、一過性の離脱反応のようなものです」
私は首を傾げたまま、眉間に力を込める。熱で鈍った頭には言葉が難しすぎて、説明が入ってこない。
阿片が危ないものだということくらいしか分からず、結局自分の身体がどうなってしまっているのか、一度では呑み込めそうになかった。
そんな私の困り顔を見て、しのぶさんはふっと目を細めて笑う。
「簡単に言うと、大丈夫ですよ、ということです」
「だい、じょうぶなんですか?」
「ええ。毎日に大量摂取していたわけではありませんから、身体に残った毒素を綺麗に排出しきれば、後遺症もなく元に戻ります。解毒と利尿を促す煎じ薬を調合しますので、それを数日間、根気よく飲み続けてください。今日と明日はしっかり横になって、身体を休めていれば大丈夫です」
「ほ、本当ですか。良かった……」
背中を丸め、深いため息を吐きながら全身の力を抜く。
良かった…。麻薬のようなものって、一度でも摂取すると取り返しがつかないって聞くし、もしこのまま変な後遺症でも残ったらどうしようって。
「とは言っても、危ない状況だったことに変わりはありませんよ。一歩間違えれば、もっと強い毒性のあるものを盛られていた可能性だってあったんですから」
少しだけ厳しい響きを含んだその声に、思わず身が竦んだ。
「身体が毒を排出しようとして熱を出している以上、数日は怠さも抜けませんし、感覚の過敏さも残るはずです。だから、絶対に無理をしてはいけません」
「はい……」
俯いたまま、膝の着物の布地を指先で摘まむ。
しのぶさん、なんだか怒っているような気がする。やっぱり、昨夜すぐにここへ帰るべきだったかな。
でも――昨夜の私には、あの時間が必要だったのだとも分かっている。だから後悔はしていないけれど、心配をかけたしのぶさんの前では、どうしても身が小さくなってしまう。
そんな私の縮こまった様子を見かねたのか、しのぶさんは椅子から立ち上がって私の隣へと歩み寄ってきた。
そして、丸まった背に手のひらを添え、あやすように優しくぽんぽんと叩いてくれる。
「お薬はあとで煎じて、お部屋に届けさせますね。……それから、見えない傷の部分にも塗り薬を出しておきましょう」
触れる手のあたたかさに、私はおずおずと顔を上げた。
「塗り薬?」
「はい。基本的には自然に引くのを待つしかありませんけれど……気休め程度でも治りが早くなると思いますから」
「……しのぶさん」
先ほどよりも一段と柔らかい笑顔を向ける彼女に、辛いことを思い出させまいとしてくれているのだろうな、と分かる。肌に残った嫌な感触を、しのぶさんはちゃんと「傷」として扱ってくれているのだと。
冨岡さんの前で見せた涙とはまた違う、安堵と申し訳なさが混ざり合った熱いものが、喉の奥に込み上げてきた。
「生きて戻ってきてくれて良かったです。自分を責めるのはもうおしまいです。分かりましたね?」
「……はい」
「では、すぐにお布団へ移動しましょう。立ち上がれますか?」
差し伸べられた手をおずおずと取り、ふらつく足元を支えられながら診察台を降りる。
部屋を出ると、廊下には心配そうに爪を噛んでいた雪くんが待ち構えていた。しのぶさんから「安静第一ですからね」と釘を刺され、しょんぼりと肩を落としながらも、彼は部屋まで甲斐甲斐しく付き添ってくれた。
「僕、また様子見に来ますから。絶対に安静にしててくださいね」
名残惜しそうに何度も振り返る雪くんを見送り、障子が静かに閉まる。部屋に残されたのは、私ひとり。
掛け布団を引き上げ、深く息を吐き出して身を沈めた。
身体はまだ熱っぽく、しのぶさんの言う通り手足には微かな痺れが残っている。けれど、恐ろしかった夜の記憶は、もうどこか遠い出来事のようだった。
何も考えず、今は早くこの熱を下げてしまおう。
そして次に彼と会った時には、ちゃんと前を向いて「もう大丈夫です」と笑って言えるように。
*
「うぅ、苦い」
縁側の板間に座り込み、湯呑みを両手で持ったまま思いきり顔を顰める。
舌にへばりつくような強烈な苦みと、喉の奥を刺す独特の土臭さ。しのぶさんが調合してくれた解毒の煎じ薬は、相変わらずの飲みにくさだった。
「ふふ、お薬ですからね。甘くはありませんよ」
後ろからアオイさんが、お盆に湯呑みと小皿を載せて廊下を歩いてくる。
ことん、と私の横に置かれたお盆には、お水と、白砂糖がまぶされた干菓子が載っていた。
「はい、お口直しです。ちゃんと全部飲み切らないとしのぶ様に言いつけますからね」
「ありがとうございます……」
そう言って腰に手を当てながらも、呆れたように目元を緩めてくれる。
事件から数日。
あの時全身を覆っていた重だるさや、嫌な熱感は、この煎じ薬のおかげか日を追うごとに少しずつ薄れてきていた。
足首の縫合痕も順調に塞がりつつあって、今ではこうして洗濯仕事をできるくらいには回復している。
「……ちゃんと飲みます」
息を止め、覚悟を決めて黒っぽい薬湯を一気に流し込んだ。
苦みが胃へ落ちていくのに身悶えしながら、すかさずアオイさんが出してくれた干菓子を口へ放り込む。広がる甘さに、ようやく人心地がついた気がした。
「リサさん、すごい!えらいです!」
洗い場で大きな敷布を風に孕ませていた三人娘が、一斉にこちらへ顔を向けてぱちぱちと小さく手を叩いてくれる。
「の、飲みましたよ!アオイさん、これあと何日飲めばいいんですか!?」
涙目で空になった湯呑みを掲げながら縋るように尋ねると、アオイさんは指を顎に当てて、何でもないことのように言った。
「そうですね。毒素を完全に抜くためですから、あと十日ほどでしょうか」
「とっ……十日」
目の前が真っ暗になるのを感じて、私はがくりと横向きに縁側に突っ伏す。
十日。あと十回も、この苦みを味わわなければならないなんて。
身体が良くなってきた分、薬の濃度を少しずつ薄くしてくれてもいいのに。日を追うごとにむしろ苦みが増している気がするのは、私の気のせいだろうか。けれど、完全に毒素を抜かなければ後遺症が残るかもしれないと言われれば、飲まないという選択肢はない。
助けてもらった命なのだから仕方がないのだと、口の中に残るわずかな甘みで自分を慰めるしかなかった。
頬を冷たい縁側の板に預けて、視線だけを庭先にやる。いつの間にか木々の葉はほとんど落ち、枝先が寒空を頼りなげに揺れていた。
朝晩の冷え込みは日に日に厳しくなり、吐く息も白くなった。季節は確実に歩みを進め、すぐそこまで冬が近づいてきている。
「そういえば」
空になった湯呑みを私から取り上げ、お盆へ戻すとアオイさんが思い出したように声を上げた。
ゆるりと身体を起こすと、私の隣に腰を下ろしたアオイさんは抱えていた大きめの紙包みを膝の上に置く。
「リサさんの着物、町の洗い張り屋さんから戻ってきたんですけど……」
包みを開きながら、アオイさんは少し言いにくそうに眉を寄せた。
丁寧に畳まれていたのは、あの日に私が着ていた薄紅色の着物だった。汚れは綺麗に落ちているけれど、広げられた生地の端々にはどうしても隠せない傷跡が残っていた。
「血や泥の染みはなんとか抜けたみたいですけど、やっぱり状態がひどくて。擦り切れて生地も薄くなっていますし、ところどころ裂けてしまっていて……。しのぶ様にお願いして、新しいものを仕立てていただいたほうがいいと思うんです」
アオイさんの言う通りだった。
袖口は擦り切れ、裾のあたりは引っ掛けたのか糸がほつれて裂けている。誰がどう見ても、もう人前に着て出られるような状態じゃない。
けれど、差し出されたその布地を見つめていると胸が痛んだ。
この着物は、着るものもなかった私にしのぶさんが持たせてくれたものだ。カナエさんの大切な遺品を預けてもらったのに、こんなにボロボロにしてしまって申し訳なくてたまらない。
新しい着物を買ってもらえるとしても、そんな理由でこれを手放してしまうなんて出来そうになかった。
「……ううん」
私は首を横に振って、ほつれた袖に指先を滑らせた。洗われたばかりの布からは、微かに石鹸の匂いがする。
「これがいいんです。この着物がいいの」
「でも、これじゃあ……」
「直せますか、アオイさん」
困惑したようなアオイさんの顔を、私はまっすぐに見つめた。
「継ぎ当てでも何でもいいんです。見た目が不格好になっても構わないから……私、直してまたこれを着たいです」
「それだったら、
唐突に背後から声が降ってきて驚いて振り返ると、隠の後藤さんがそこに立っていた。
「後藤さん!驚かせないでください!」
アオイさんがすかさず声を尖らせるけれど、私の耳にはさっきの言葉しか残っていなかった。
「しっかいや、さん?」
「お前、着物の直しを探してんだろ」
私の前のめりな視線に気づいたのか、後藤さんは顔を覆う黒布の上から、ポリポリと気まずそうに頬を掻いた。
直せる方法があるなら、どんな些細なことでもいい。縋れるものがあるなら縋りたい。
「それは、どこにあるんですか?」
「二つ向こうの町に、腕利きの有名な店があるんだよ。江戸から続く、染め直しとか仕立て直しを専門でやってるところでさ。生地の破れやほつれを直すのがとにかく上手いんだと。隊服の修繕なんかでも、綺麗に直してもらったって話をよく聞くぜ」
破れやほつれを、綺麗に直してくれる。
「アオイさんっ!」
アオイさんを見つめながら、私はできる限り瞳を輝かせた。
アオイさんは困ったように眉根を寄せていたけれど、私の顔と膝の上の着物を交互に見つめて、やがてふうとため息を落とす。
「……仕方ありませんね。今度一緒に行ってみましょうか」
「本当ですか!?ありがとうございます、アオイさん!」
嬉しさが爆発して、私は思わずアオイさんの身体をぎゅっと抱きしめていた。
「わっ、ちょっと」
「えへへ、アオイさん大好きです」
「……仲のよろしいことで」
腕の中でアオイさんが赤くなって身を捩ると、頭の上から後藤さんのからかうような声が降ってくる。
顔を上げたアオイさんは、赤くなった頬を隠すように少しそっぽを向きながら、後藤さんへと尋ねた。
「それで、後藤さんはどうしてこちらへ?」
「ああ、そうだ。……ほらよ、頼まれてたやつだ」
後藤さんは懐に手を入れると、手のひらに収まるほどの小さな木箱を取り出し、私へと差し出した。
「あっ、もしかして……」
私はアオイさんから腕を離し、両手でその小箱を受け取る。
蓋を開けると、敷かれた
「す、すごい!金具が直ってます!」
「曲がったところを直して、
大したことじゃない、とでも言うように後藤さんは笑うけれど、私にとっては代わりのきかない大切なものだ。
曲がってしまった留め具を見たときは、屋敷のみんなで頭を抱えるしかなくて、こういう細工仕事はやっぱり男性の手を頼るしかないと、たまたま通りかかった後藤さんに縋りついたのだった。
町で買ってきたカステラを一切れ進呈するという約束で引き受けてくれたけれど、こんなに早く、しかも元通り綺麗にして返してくれるなんて思ってもみなかった。
「本当にありがとうございます、後藤さん!」
「誰かからの贈り物か?」
「はい。大切なものなんです」
そう言って両手で小箱を包み込む私を、隣のアオイさんがじっと見ていた。
視線を感じて顔を向けると、彼女は唇の端を小さく持ち上げて、いたずらっぽく目を細めている。
「水柱様からの贈り物らしいですよ、それ」
「アオイさん!」
「水柱様って……あの冨岡様が?女性に、そんな小洒落たもんを?」
「ええ。そうなんですよ、後藤さん」
慌ててアオイさんの袖を引いて止めようとする私の焦りなど意に介さず、アオイさんは楽しそうに小さく笑みをこぼす。
後藤さんは信じられないといった様子で、木箱の中の帯留めと私の顔を何度も往復して見つめ、言葉を失っていた。
「ついでに言うと、リサさんを最初にここへ連れて来られたのも水柱様なんですよ」
「へえ」
追い打ちをかけるようにアオイさんが涼しい顔で付け足す。
こうして人の口から大っぴらに並べられると、なんだか特別なことのように聞こえて恥ずかしい。
「いや、でもなんか納得だわ。あの人、義理堅いところあるもんな」
「後藤さんもそう思いますか?」
「ああ。だってあの人――」
私も以前、同じことを思ったなと同意しかけたところで、廊下の向こうから後藤さんを呼ぶ大きな声が響いた。
「あ、呼ばれた。行ってくるわ」
ひらひらと片手を振って足早に去っていく後藤さんの背中に、私たちも小さく手を振り返して見送る。
廊下に静けさが戻ったところで、私はすかさずアオイさんへと向き直った。
「アオイさん。そのしっかい屋さん、いつ行きますか?」
待ちきれない気持ちがそのまま声に出ていたのだろう。アオイさんは呆れたように眉を下げて息を吐いた。
「もう、リサさんったら。でも……そうですね、物を大切にするのは良いことですから。しのぶ様から許可が出たら、すぐに行きましょう」
「はい!」
二つ返事で頷くと、アオイさんは小さく吹き出した。
手元に残された小箱の中には、綺麗に直った硝子の帯留め。そして、膝の上にはこれから直してもらう大切な着物。
ここへ来たばかりの頃は、身ひとつで何も持っていなかったのに。
いつの間にか私の周りには、失いたくないと思えるものが、ひとつ、またひとつと増えていた。
こうして手元にある物も、蝶屋敷みんなも、鬼殺隊のみんなも。
春が来て、夏が過ぎて、もうすぐ冬がやってくる。巡っていく季節の中で、当たり前のように流れているこの温もりを、ずっと手放したくないと思う。
誰かに直してもらいながら、誰かに支えてもらいながら、私もこの場所で大切に時を重ねていきたい。
この先、どれだけ外の風が冷たく吹きつけようとも、ここで過ごす日々のぬくもりだけは、どうか少しも色褪せませんようにと。冷たい空気の中で、静かに願っていた。
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