タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
これのサンジくん視点
2021/08/05


 うんうん唸っているレディに首を傾げる。今日のレディの悩み事はなんだろう。島に着いたばかりでリフレッシュしたのか肌艶だっていつも輝いてるのにそれ以上に輝いているし、ナミさんがお小遣いを配分したばかりで金に困っている訳じゃないだろうし、憂いを帯びた姿は心配なのはもちろんだけど目に毒で誰にもこの悩んでいる姿を見せたくないと思ってしまう。心が狭過ぎて嫌になる。

「どうしたの、レディ、悩みごと? おれでよければ相談に乗るよ?」

 おれでよければ、なんて言いながら、おれ以外には相談してほしくなくて、独占欲の塊みたいな汚い嫉妬心がレディに伝わらないのを祈る。レディの心を心配しているのは大前提だけど、それでもおれの言葉はエゴでしかないのが滲み出てしまったのかレディが困ったようにへらりと笑う。聡いレディが大好きだけれどおれのこんな汚い心には気付かないでほしい。

「サンジくんは告白されたらきっと断らないよね」

 レディはおれを誤魔化す術をたくさん持っていて、甘やかな言葉でいつもたぶらかされる。少し汚い心も混じっていたけれどレディの憂いごとを吹き飛ばしたい気持ち自体は本当で。だから彼女の誤魔化す言葉に少し残念に思うけど、まずはその誤解を解かないといけない。

「おれってそんな節操なしだと思われてるの?」

 自業自得なのはわかっていても好きなレディにそんな節操なしだと思われているのは大問題だ。どうしよう。何を言っても言い訳にしかならないのはわかっているから何も言えないおれも馬鹿正直で、本当に大馬鹿。

「ごめんね、そういうつもりじゃなくて……ええと、でもほら、もし私がサンジくんに告白したら断らないでしょ?」
「そりゃあもちろん!」

 例え話だとわかっていてもあまりに嬉し過ぎる言葉に思わず破顔して大きな声で頷いてしまった。くすりと笑うレディに、こういうとこがそういう風に思われてしまう原因なんだよなとわかっていてもそんな状況を想像するだけで嬉しくて即答してしまうくらいレディのことが大好きなんだ。

「愛する人からの告白を断るバカがどこにいるの」

 信じてほしくて付け足したのに声を出して可憐に笑うだけのレディにショックを受ける資格なんておれにはない。だっておれの言動はそう思われても仕方がない。だけどおれの言葉は全部本当なんだよ。君だけが特別なんだ。君にはそうは見えなくてもこんなにも君の言葉や態度にすっかり魅了されて、情けない男がひとりできあがってる。

「世界のどこかにいるおれのことを好きなレディには申し訳ねェけど、おれは君以外からの告白はきちんと断るよ」
「え、?」
「まァまず君におれの愛を信じてもらえるように頑張るさ」

 きっとこの言葉もレディには信じられてはいないんだろうなとは思うけど、でもそれは今までのおれの自業自得だから。これからもっともっと誠意を込めて伝えていけばいつかはきっと伝わるはずだと願って。

「ところでレディ、……レディの悩み事をあまり蒸し返すのはスマートな紳士のすることじゃないのはわかってるんだけど、大事なレディが悩み事を抱えてるのを黙って見ているだけの紳士なんてのも存在しないから。精一杯力になれるように努力するよ、おれじゃ解決できないことかい?」

 そんなおれの決意はレディが悩んでいることをほったらかしにする理由にはならなくて尋ねる。おれにできることが何もなくて誤魔化されただけなら仕方ないけど、おれが誠意も何もないだらしない男に見えて誤魔化されたのなら誤解をどうにか解いて、レディの憂いごとをはらう大役に名乗りをあげたい。レディにいい格好をしたい気持ちも当然あるけれど、それ以上にレディの心が悩みで澱んでいるのなら原因を排除して晴れやかな笑顔で過ごしていてほしいから。だから、今度こそ誤魔化されないことを祈ってレディをじっと見つめた。