タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
これのクロコダイル視点のようなもの
2021/05/25


 普段こうるさい女が静かにしているなとふと気になって視線を寄越せば向かいのソファで器用に丸まって眠っていて眉を顰める。眠たいなら自分の部屋で寝ろ、と思っていれば、ううう、と唸り出した姿に呆れる。そんなところで寝るからだ、馬鹿め。さらり、と砂を纏わせる。ねえ、とさっきまで唸っていた女の声だとは思えないほど甘ったるい音が紡がれて固まる。起きたのか、と何をしようとしていたのかわからない砂がじゃり、と床に落ちた。

「いた、いたくない……」

 さっきの音は聞き間違えだったのかというほど情けない言葉。訳がわからない女なのは昔からだ。国を乗っ取ろうとしていた時も、牢獄から出た瞬間に何事もなかったかのようについてきた時も、こうして同じ部屋で一夜を過ごすことになっている今も、ずっと、この女の考えていることがわからない。そもそも考える時間が勿体無い。常にそばにいようとする。この先も、またおれが下手を打ったとしても笑って横にいるような、他人を信じないはずのおれがそんなことを思うほど、当たり前のように侵食された。
 寝心地の良い場所でも探しているのかソファにぐにぐにと頬を押しつけて呑気に眠っている姿に腹が立つ。どうしておれが受け身になっているんだ。お前がおれにまとわりついているわけじゃない。おれがお前をそばに置いてやってるんだ。主導権は、おれだ。振り回されるのは、お前だ。
 ぶわりと砂を纏わせてソファに身を委ねていた体を持ち上げて引き寄せる。一国を転覆させようとした男の前で眠って、持ち上げられているのにそれでも起きない姿に腹が立って安心しきっている唇に噛みついた。おれはいつだってお前をどうにでもできる。それを忘れるな。