タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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これの続き
2021/12/30
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ジジイや他の野郎どもと乱闘もどきの里帰りも落ち着いた頃、この荒くれ者ばかりのコックしかいないバラティエに可憐な人が降り立った。待ち合わせもしていないのにこのタイミングで訪れてくれた愛しい人に、やっぱりおれたちは運命の赤い糸で結ばれているんだよ、と心臓が踊りだす。うるさいほどに動く心臓とは裏腹に、久しぶりのレディが眩しすぎて体が硬直して動けない。抱きしめたくってたまらないのに、息すらできているかわからない。そんなていたらくなおれを置いて、バラティエの甲板にその可愛い足をおろしたレディが顔を上げて、ぱち、と目があった。忘れたことなんてない。ビー玉のように綺麗な瞳にまつ毛が揺れて瞬く。次にまたビー玉が覗いた時にはより一層輝いていて、……どうしてだ? レディの綺麗な瞳が涙で潤んでいるからだ、と気付いて硬直が解ける。どちらからともなく走り出して抱き締める。ふたつの体がひとつに溶け合ってしまいそうなほどぴったりと隙間なく抱き締めて、全身でレディを感じた。ちっとも変わってないレディの姿に、懐かしい匂いに、胸が締め付けられて何かを言いたいのに何も言えなくて言葉に詰まる。すきだ、かわいい、あいしてる、きれいだ、……迎えに来させてくれて、ありがとう。言いたい言葉は浮かんでも、声に出せずに喉が引き攣る。
「おかえりなさい」
胸元で聞こえたくぐもった声に今度こそ涙が頬を伝った。強く抱き締めても折れなかったレディは世界の果てまで旅してきたおれなんかよりよっぽど強くて、海のように全てを受け入れてくれて、おれも迎えてくれた。ただいま、と返す声は情けなくも震えていて、それでもレディは笑ったりなんかしなかった。
いつまで経ってもぎゅうぎゅう抱き締めて離さないおれに痺れを切らしたのか、クルーの誰かか、もしくは荒くれ者のコックたちの誰かがかおれの後頭部に何かを投げてきた衝撃でようやく我に返っておれとレディの間にほんの少しの隙間ができる。
「……迎えに来たよ、」
「うん」
「おれ、強くなったんだ」
「うん」
「君を守る力も自信もある」
「うん」
「大丈夫、誰にも、君を傷付けたりさせない。オールブルーへだっておれたち海賊のような危険な冒険なんてせずに一直線に安全なルートで一緒に、」
「え、?」
「え?」
うん、うん、とおれの言葉に嬉しそうにただ頷いてくれていたレディが急にぽかん、と口を開いておれを見上げるから、背中に嫌な汗が流れる。ずっと、迎えを待ってくれていたと思っていた。だって目が合った瞬間おれだけじゃなくてレディも走り出してくれて、それで抱き締め合って、一方通行の愛ではなかったと、だから、だから。不思議そうにおれをじっと見つめるレディに混乱に何も言えなくなってしまう。どうしよう。どうすれば。
ほんの少し息を吸って口を開いたレディに、死刑宣告を告げられるかのような気持ちで耳を澄ませる。別れを、告げられてしまうんだろうか。一緒にはいけない、と。
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