タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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これの続き
2021/06/27
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ああ、イライラする。ぽこぽこと酸素が体中から逃げていくのがわかった。海の中にざらついた砂が細々と散っている。おれを虚仮にしようとする無能共は全員砂と化した。おれが海の底に沈みきるのが先か、それともあの元人間の砂がゆらりゆらりと底に沈むのが先か、考えて小さく笑った。どちらにせよ、同じ地獄に行き着く。
油断したわけじゃない。ただ、宙に浮いた瞬間、自分を助けるよりあの身の程知らずの馬鹿共を殺す方を優先してしまっただけだ。奪うばかりの人生で、自分のことを勘定にいれるのを忘れてしまうくらいには、助ける、なんて己の中の辞書にそれが存在しなかった。
目の前を何かが横切って瞬く。小さな魚がうろうろとおれの周りを彷徨っていて眉を顰める。餌だと思ってんのか。まだ死んでねェよ。散れ、と言わんばかりに鉤爪で海を引っ掻く。蜘蛛の子を散らすように逃げたそれに満足して海の中で月を見上げた。溜息を吐こうにも、もう酸素がない。気分だけ溜息を吐いて勝手に動いた鉤爪に小さく眉を寄せて視線をやって、驚きになかったはずの酸素が口からこぽりとこぼれた。さっきの魚かどうかは分からないが、小さな魚がおれの鉤爪をぐいぐい押し上げていて沈む体がほんの少し支えられている。今思えば背中も、なんだか押されている気がする。
どういうことだ。考えて、ふ、とあの人魚の顔が思い浮かぶ。W顔に縫い目があって、鉤爪の大きな男の人が溺れていたら教えてねってみんなに言って回ったの。だから、この辺りの海に落ちたならいつでも私が助けに来てあげるから、いくらでも溺れて大丈夫よWそんなことを嘯いていた女を、思い出す。
猛スピードで近寄ってくる気配に鼻で笑う。助けたってこの世の為にならねェ男を、二度も三度も馬鹿な女だ。魚達にありがとうと笑って言うのが聞こえてぐんぐんと酸素のある上へとのぼっていく。
「落っこちるのが趣味なの?」
そんなわけがあるか。げほげほと海水を吐いているおれに心配そうに馬鹿なことを抜かした女に反論したくともできやしない。言葉を紡げない代わりに重たい腕を持ち上げ、掻き抱く。濡れた髪に顔を埋めて呼吸を正す。人間ってか弱くて大変ね、なんてまたレッテルを貼られて腹が立つ。腹が立つ、のに、一度野生の動物を拾って甘やかしたなら最期まで面倒を見るのが義務だろう、なんて甘いことを咳き込みながら考えてしまうのはどうしてだ。
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