タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2023/04/13
⚠️別れ話
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あまり言葉の多い方ではない彼に、良い女だろ、と惚気られるのが好きだった。何ヶ月も前から約束してた日に急用が入るのも、運良くデートできても途中で呼び出しがかかるのも当たり前で、ゆっくりのんびり終わらせられた最後のデートはいつか、なんて思い出せないくらい過去のこと。
それでも仕事と私、どっちが大事なの、なんて思ったことは一度もなかった。仕事も私も、どっちも大事だって知ってたから。誇りを持って働いていたし、そして私のことも愛してくれてた。会えなくても、言葉足らずでも、きちんと愛されている自信があった。だからこの結末は私のせい。彼は一つも悪くない。
対面で別れ話をしなかったのは、目を合わせて話をすれば心が揺らいでしまうから。ただ問題を先延ばしにするだけなのに。好きだから、愛してるから、もう少しだけ。そして何ヶ月か経てばまた耐えられなくなって別れ話をして、好きだから、愛してるから、あと少し、それを何度も繰り返せば彼の愛情が枯渇してしまうのは容易く想像できた。別れるくせに、嫌われたくはなかった。だから逃げることにした。手紙を置いて、もらった指輪を重しにして、部屋に私の痕跡を何一つ残さず綺麗にして、それだけで終わり。終わった。呆気なかった。
その日の夜、逃げ出したくせに連絡が来るのを一晩中待って気付けば朝日を拝んでしまっていた。次の日は疲れて一日中眠ってた。起きて携帯を確認しても、連絡はなかった。いつもの日常。だって彼は忙しいから。一緒に住む前はどんなに忙しくても一ヶ月に一回はどれだけ忙しくても連絡をくれた。その愛情が嬉しくて、毎回似たり寄ったりな短い文章でも初めて恋を自覚した時と同じくらい胸がときめいて舞い上がってた。だけど今は違う。携帯を確認するのは会いたいからじゃない。声を聞きたいからじゃない。別れを引き止めてほしいからじゃない。あの手紙を読んだ、その確認を取りたいだけ。あの手紙を読んだらきっと即座に連絡してくるはず。一方的に別れを告げても、別れを了承されない。だから、私は勝手に了承の合図を決めた。
手紙を読んで、回らない頭ですぐに私に連絡をしてくる。タイミングよく、ぶぶ、とバイブ音がして携帯に目を落として笑う。こんな夜中に帰ってくるなんて、相変わらずあなたは忙しい。長く震えた携帯が止まって、電源を落とした。きっと何度か掛け直してくれる。でも繋がらない携帯に、少しでも他の手がかりを探そうと部屋中をひっくり返そうとしても何も残していない。その指輪と、手紙以外は。隅々まで何度も手紙を読んで、それからようやく裏返してその文面を見つける。
別れ話に了承してくれたなら、電話して。
ずるいやり方だってわかってる。だけどもう、耐えられなかった。
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