タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/03/22
これの続きのようなもの
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「人魚は面倒なことばかりでしょう? ごめんなさい」
おれの腕の中で小さくなる可憐なマーメイドの謝罪に思わずぽかんと間抜けに顎を落としてしまう。何が面倒で、どうして謝る必要があるんだろうか。
のどかな島だからとデートにお誘いして、だけどやっぱり人魚は胸糞悪い悪人どもに狙われるしそうじゃなくてもいけすかない野郎どもが麗しのマーメイドのしなやかな尾鰭に見惚れるから人魚だとバレないようにナミさんにお借りした布をロングスカートのように尾鰭に巻きつけてお姫様抱っこ。完璧だ。ちょっと遠目に見ればらぶらぶなカップルに見えるだろうし、人魚を腕に抱いて人目につかない場所を散策する秘密のデートにただただ幸せな気持ちを感じているおれにどうしてそんなに申し訳なさそうな顔をするのかがわからなかった。
「今日は気持ちのいい天気でデート日和だし、レディはおれの腕の中だし、幸せなことばかりだよ?」
落とした顎を元に戻して心の底からの本音を言ってもレディの表情は浮かないまま。
そもそもおれが謝るならまだしも、どうしてレディが謝ってるんだろう。だって、こんな不自由な世界に引っ張ってきたのはおれだ。海の中でひっそり暮らしていた人魚をおれの都合で引っ張り上げて、成り行きとはいえ航海に着いてこざるを得ない状況にした。人魚の遊泳速度はとんでもなく速く、おれから逃げようと思えば簡単に逃げられるのに、寂しいな、と少し溢すだけでレディの優しい心は簡単に縛り付けることができた。本当は自由に海を駆け巡ることができるはずなのに、狭い船で、不自由な陸の上で、身も心もおれに無理矢理捕まえられている。申し訳なく思うべきはおれで、嬉々としてお世話するふりをして不自由な世界を押し付けているおれを叱ったっていいくらいなのに。
「本当に面倒だなんて思ってないし、せっかくのデートなんだからあとはレディがにっこり微笑んでくれたらもっともっと幸せなんだけどなァ」
レディが感じる必要ない罪悪感を溶かすことはできなかったようでそれでもまだ申し訳なさそうに視線を揺らしていたけど、終始にこにこ浮かれるおれに諦めたのか優しいレディが控えめに笑顔を浮かべてくれた。
聡明なレディはいつかきっと、本当はおれがレディを不自由な世界に引っ張り出して閉じ込めたことに気が付いてしまう。自由な海が恋しくて帰ってしまうその時が、きっといつか来る。せめてその時までは不自由なデートを思いきり楽しんでほしい。おれの腕の中でしか楽しめないけど、それでも不自由なだけではなかったと海の中で思い出してもらえるように今日もまた海にはない陸の美しいものをレディに捧げるデートをしよう。
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