タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2025/06/19 ゾロ
はらりひらりと落ちる虚勢・禁じられれば禁じられるほど・恋をしましょう
これの続き
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「悪かった、信じてくれ」
何日も日を跨いだ謝罪をここ数週間何度も繰り返している。一度軽蔑しきった目を向けられて心底肝が冷えた結果、その日は船に帰ることもできないで情けなくも固まったままでいた。次の日に、迷子になったと思ったのか迎えにきてくれた女は呆れた表情で、もうあの軽蔑しきった目はしていなかったが、それは許されたからではない。心底どうでもいいと思われている。またいつものが始まったと思われている。呆れ果てて、信用を失った。仲間としての絆があったおかげでどうにか繋がっている関係でしかない。酒を飲みすぎたら叱ってくれる。怪我をしたら泣きながら心配してくれる。仲間として。おれが、それ以外の関係を全て壊してしまった。自業自得だ。わかってる。
「しつこいってば、もういいって言ってるでしょ」
めんどくさいな、と態度にも言葉にも出されて今日は女子部屋に引っ込まれた。あそこはおれには踏み入れない。軽蔑しきった女の目玉が四つ、ぐるりとおれを取り囲み、あっちへ行ってと言葉でも体でも追い返されるからだ。軽蔑された視線を向けられる方がよっぽど気持ちが楽だった。だって軽蔑するということはおれの気持ちが本気だってことを信じてくれているから。遊んじゃいけない領域で遊んでしまったことをあいつらは理解して軽蔑しているから、馬鹿な男を近付けないように守っている。
ぽつんと甲板に残されたおれに、ウソップが近付いてきて肩を叩いて慰めてくれた。
「……おれもさ、嘘を本当にしてもらうのを手伝ってもらったから、お前の力になりたいんだけどさ、……」
「いや、……あれはお前が頑張ったんだろ。それに、力になってる、ありがとう……おれが馬鹿だったんだ」
馬鹿なおれに協力しているせいで、お前にとっては理不尽な借金が増えていることも知っている。おれがあいつに謝れるように、船番や買い出しをこっそり代わってもらって、そしておれが当然撃沈して、ウソップのことも疑われるようになって今じゃもうその手は使えない。
「大丈夫だ、ゾロは良い男だからな! ちゃんと反省してるし、いつかはきっと伝わる」
ありがとう、ともう一度礼を言えばにっかり笑われておれも気の抜けた笑顔を返す。発明品を作りに行ったウソップの背中を見送って、甲板に寝転んだ。
「ワッ」
知らない間に眠りこけていたのか、悲鳴に目を覚ます。いつもと違う位置で寝ていたせいで気付かなかったのかおれの腹に躓いて寝起き様にとんでもない距離で目が合って固まった。ぱちぱちとまつ毛を揺らして驚く姿に大丈夫かと心配することも出来ずにただ固まって、……それから、久々に屈託のない笑顔を真正面から浴びて体温が急上昇したのを自覚した。おれが馬鹿みたいなことをして信頼をなくす前の笑顔だ。なんで急に。目が覚めたと思っていたが、もしやこれは夢なんじゃ。
「なんでこんなところで寝てるの? いつもはあっちでしょ?」
ここ数週間、会話を重ねる前におれが謝罪から始めるからすぐ逃げられていたのに、おれの体の上で会話を続けるからやっぱりこれは夢なんじゃとまた声が出ないままでいる。
「ゾロってさ、馬鹿なんだね」
夢かどうかはともかく楽しげに言われた言葉にようやく脳が信号を出してくれて頷けた。そうだ、大馬鹿だ。嘘のプロでもないのに、反応が可愛いからとしつこく繰り返した揶揄いにとうとう信用を無くした大馬鹿者だ。
「私のことが好きだから意地悪してたの?」
「そうだ、悪かった、もう二度と馬鹿なことはしない、信じてくれ、」
「意地悪したくなる気持ち、ちょっとだけわかったかも、」
「……? いや、わからなくていい、おれが悪かったんだ」
お前が歩み寄る必要なんかない。おれが馬鹿だったんだ。
「ゾロ、すごくドキドキしてるね。本当に私のこと好きなんだ」
近くにあったはずの顔がつむじしか見えなくなって、言葉と状況を理解することが遅れた。ぺったりと頬をおれの肌に引っ付けて心臓の音を聞いているらしいことに気付いた瞬間、ただでさえ近い距離にあがっていた体温がドッと燃えるように熱くなり、心臓がありえないほどの早鐘を打って、どんな鍛錬をした時よりも変な汗がじわりと浮かんでいくのがわかって固まる。
「でもやっぱりああいうのってよくないよ、もうしないでね。これで仲直り、ね?」
とん、と優しく胸を叩かれていつの間にか体の上からいなくなっていたことに気付いて、それからいつのまにか止まっていたらしい息をするのも思い出した。
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