タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2025/09/01 クロコダイル
欲しいだけあげる・余裕は夜の向こう側・喉が嗄れるまで
※なんでも許せる人向け
これの続き
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海に身を投げれば助けに来るお人好しの人魚は、おれから逃げるようになってしまった。おれのこのツラや鉤爪には全く怯えなかったくせに、馬鹿みたいに素直に言った言葉はあの人魚にとってはよっぽど嫌なことだったらしい。お前に会うために海に身を投げる男を嫌っているくせに、放っておけば死ぬおれを見捨てられないお前は律儀にやってくる。お前が目当てだと言う前まではおれが咳き込んでいる間も海に漂いながらおれを抱えてのんびり話し続け、咳き込み終えた後は陸地へゆっくり運び次からは気をつけてねと赤子のように心配し、陸に立つおれを名残惜しそうに何度も振り返りながら海へと帰って行ったのに。お前が目当てだと言ってからは咳き込んでいるおれを早々に砂浜へと寝転がして海へ戻り遠目でおれの無事を確認し終えてからちゃぷんと海の中へ潜り消える。さながら本当の人魚姫だ。だがお前が助けたのは王子じゃないし、おれはお前とよその女を間違えたりもしない。声を奪ったりもしないし尾鰭を奪う気もない。だから何度も海へ飛び込むのに、お前はその度におれを助け、そして捨てていく。今日もまた砂浜に寝転がされてお前が遠ざかっていく。げほげほと海水を吐き出しながら目を瞑った。拾った動物の責任は取れよ。それができないなら助けになんか来るな。咳がおさまって落ち着いても今日は立ち上がる気力も湧かない。
「い、生きてる、?」
耳に久しぶりに聞く女の声が滑り込んできて飛び起きそうになるのを一瞬の判断で静止した。咳が止まったのに立ち上がりもしないから心配になって戻ってきたのか。馬鹿な女だな。本当に。そうやって甘やかすから、厄介な男に目をつけられるんだ。ずりずりぺたぺたと、人魚にとっては不利な場所へどんどん近付いてくる音がして内心で舌打ちをする。こんなのでおびき寄せられる人魚なんざ、カモにも程がある。
「ねえ、だいじょうぶ? おきて、ッ、きゃッ、」
「起きてる」
ぐらぐらとおれを揺さぶり涙声で心配する手首を掴んで目を開く。久々の会話だ。驚いて尾鰭を砂浜で跳ねさせているが海の中の自由さはここにはない。濡れ鼠で能力を使えなくても砂はおれの味方をする。
「……おれのことが嫌いならそう言えばいい」
「、きらい? どうしてそんなこと言うの?」
ずっと逃げようとべちべちと尾鰭を動かしていたのにおれの言葉に何もかもの行動をやめて瞬きを繰り返して不思議そうにおれを見下ろすから眉を顰める。あの一連の行動をそう取らない方がおかしいだろ。
「馬鹿みたいに近付いてきては喋り倒してた女が、こうして捕まえなきゃ喋らなくなったんだ、……嫌いになったと捉える方が自然だろうが」
途端に捕まえられていたことを思い出したのかまた身動ぐから折らない程度に手首を握り込む。なのに、真っ青になるかと思った皮膚の色がどこか赤く染まり出して脳がパンクする。なんだそれは。どういう感情だ。考えがまとまる前に女の口がゆっくり開いて耳を澄ました。
「だって、だって、……赤ちゃんみたいでかわいいと思ってたのに、そういうこと言われたから、びっくりして、」
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