「おぁ……」
「なんだその声」
呆れた言葉だったけど完全に楽しんでいる声音でへらりと笑って誤魔化す。いや誤魔化せるわけないのわかってるんですけど反射的に愛想笑いを浮かべてしまうのはもう仕方ないですよね。
だって、私の名前と、降谷さんの名前が並んでいる。
婚姻届、という文字の下にふたりの名前が並んで、そして私は降谷になる。最後まで降谷さんは私の名前にしようか、そっちの方が馴染むだろう、だなんて悩んでいたけれど、やっぱり降谷さんが正々堂々とひとつの名前を名乗れるいつかが来るのが楽しみで私が断固として譲らなかった。
「これを出したら私も降谷さん……って思うと感慨深いなっていう声です」
「まあその、……まだ色々解決していないから君にも安室を名乗ってもらうことになるんだが」
苦虫を噛み潰したような表情に今度は私が楽しくなってしまって頬が緩む。
「俺の妻なのに、俺が間男みたいだ」
「ふふ」
「なんだ。馬鹿みたいだが真面目に安室に嫉妬してるんだからな。プロポーズも先に奪われる、名前も先に奪われる、散々すぎないか。君が好きなのは降谷零なのに」
んふふ、と堪えようとすればするほど笑みがこぼれてしまって降谷さんの眉間の皺が増えていく。
「……笑うな。……というか君、住所間違えてるぞ」
「エッ」
慌てて降谷さんの指差す場所を確認すれば本当に間違えていて焦る。眉間の皺が減って降谷さんは大変楽しそうで麗しいんですけどそれと比例して笑みが消えていく私。やってしまった。この書類でやらかしてしまうだなんて。
「それにしても、東京都だなんて変なの……東都と京都が混ざっちゃったんですかね」
「ふは。ですかね、って君が間違えたんだろ」
────────
っていうオチにしようと思ったんですけどいや忘却ホラーやんけって思ったのと、あと普通にコナン世界って東京都なんですね。てっきり東都だと思い込んでたので、おっこれキリ良くない?って閃いたつもりで…私は…ばか……。一応調べとこって調べたら東京都じゃないですか普通に…ホラー風味で没以前に設定として駄目じゃん…って打ちのめされたんですけど勿体無いんで没ネタとしてどーんしました。供養供養。
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2022/04/21
2022/04/21