パパジャニWEST #3


#3

16:00

「締まる黒のがいい?」
「膨張色じゃないほうがいい。ありがとう」
「私も黒欲しいねんけど」
「一個しかない」
「締まる色がいい」
「あ、赤あんで?」
「赤で!」
「俺も赤がええな」
「あかん。私が赤」
「この戦い勝ち目ないで」
「のんちゃん絶対負ける」
「じゃあ白でええよ」




「エプロンなんか久々したな」
「家でもせんもんな」
「え、そうなん?するわ」
「ほんまに?可愛いやん」
「淳太くんに誕生日プレゼントでもらってん」
「それも赤?」
「ううん、オレンジ」
「……あー、あれか」
「ちょ、小瀧着れてへんやん」




「唐揚げとかできへんの?」
「唐揚げ?作れるよ」
「ともの唐揚げ食べたい!最近全然食べてない!」
「今後おいでや。作るで?」
「じゃあ明日行くわ」
「明日は仕事やから無理やわ」
「なんやねん。じゃあ来週連絡するわ」
「もんちの唐揚げ好きやねんな。あ、むねしかないなー」
「嘘やん、絶対ももがいい」
「いいやん!タンパク質とれて」
「絶対ももやろ」
「むねやって。ももは脂肪ついてんねんから」
「照史と真夏がもも好きって、なんからしいな」
「……なんで私と照史の身体見てん」
「誰がぽっちゃりや!」
「今は結構整ってるわ!」




16:45

「真夏、卵の殻片づけてー」
「はいはい」
「誰!?これペットボトル開けたまま入れたん!?」
「あー…」
「しげや!」
「わんぱくやからしゃあない。あとで教えてあげればええねん。あかんでー言うて」
「出た。モンペや」
「真夏はほんまにしげに甘すぎ」
「真夏にとってはだいきくん(5歳)やろ?」
「だってしげちゃん可愛いねんもん。でも、ステージ上がったらゴリゴリの重岡大毅(26歳)になるからたまらんよね!」
「なにが?」
「全然意味わからん」
「そういう真夏も、ステージ上がったらゴリゴリの望月真夏(27歳)やで?」
「私そんなゴリゴリ?」
「キラキラアイドルやな」
「絶対ちゃうわ……」
「キラキラアイドルやで」
「ゴリッゴリや!」




「家IH?」
「違う」
「コンロ」
「絶対そっちの方がええな、料理する人は」
「そういえばさ、真夏ってIHのガラス割ってマンションの人に怒られてなかった?」
「嘘!?そんなことあった?」
「いじられへんように黙ってたのに…!」
「今の家やっけ?前やっけ?あ、今はコンロか」
「一個前の家。はまちゃんと家で飲んでて、べろべろになってワインの瓶落としてIHのガラスにヒビ入ってん」
「ほんではまちゃんが焦って淳太くんに電話したんやろ?」
「そうそう。夜中の3時に」
「はまちゃんとそこまでべろべろになるって珍しない?お酒弱いやん」
「なんやろな。変なスイッチ入ってた」




「ちょっと出汁薄めでいいよね?」
「ええんちゃう?子供やし」
「ハンバーグと唐揚げが味濃いめやし、大丈夫ちゃう?」
「うわ!うまい!」
「ほんま?」
「真夏も味見して?」
「ほんならスプーン取って?」
「同じのでええやん」
「あかん。俺が空色ジャスミンに殺されるわ」
「じゃあ新しいスプーンで味見しまーす。…あ、美味しい!」
「せやろ!」
「そんなに?俺もほしい」
「はい」
「手塞がってるわ」
「ぱくっといってええよ?」
「あー!うまい!」
「そこで間接ちゅーすんなや」
「俺が気遣って新しいスプーン出したのに」
「このくらいで怒るファンはおらん」
「ともとは別に気にせえへん」
「神ちゃんとは、ね」
「ニヤニヤせんとハンバーグ作れや!」




「さすがにみつばはやめとくか」
「苦手な子多いかもね」
「ちょ、照史、あのさ」
「なに?」
「…みつば、抜いて」
「ん?」
「私もみつば苦手やから」
「苦手な子ここにおったわ」
「好き嫌いすんなや!」
「お願いやって!みつば無理!」
「ほんならみつばなし一個作るわ」
「ありがとう」




17:30

「ただいまー!」
「ただいま」
「おかえり!」
「おかえりー、あ、しげちゃん!」
「なに?」
「ペットボトルの蓋開けっぱなしやったで」
「あ、またやってもうた。ごめん」
「次は気つけてや」
「はーい」
「なにこれ?」
「いつものモンペや」




「とも、私のエプロンも一緒に置いといて。畳んだ」
「はいはい。そっちの照史のやつも畳んで?」
「OK。……畳み方几帳面すぎひん?」
「そう?」




18:00

「みんなで食うから余計ウマイわ」
「真夏ちゃんは何作ったん?」
「私は、サポート?的な?」
「これ全部作るのに2時間くらいかかってんけど、それでも早いほうやねん」
「調理するときにいるもんとか、使い終わった食器の片づけとか、全部真夏がやってくれてん」
「あと照史のスマホつけ係な」
「なにそれ?」
「スマホの画面が消えたらつける係な。茶碗蒸しの作り方が見えへんくなるから」
「影の支配者やな」
「それはなんかちゃうわ」




19:00

「俺ちょっと裸イヤなんでやめときますわ」
「神ちゃんいこう」
「いこか。でも俺1人やと無理やで」
「もう1人誰行く?」
「真夏は?裸NG?」
「今整えてるからええよ?」
「あかんやろ!一番裸NGの人やろ!」
「なんでノリノリで行こうとすんねん!」
「私今回あんまり活躍してないから、ここかなって」
「ちゃんと活躍してるから大丈夫やって!」
「活躍の意味ちゃうやろ」
「お願いやから行かんといて!」
「はまちゃん」
「俺いくわ」
「真夏ちゃん!活躍したいならこっち手伝ってー」
「手伝う!」




19:50

「ママじゃない?」
「もうお別れかー」
「家帰ってヒジおじさんとか言っても気にしないでくだいさいね」
「ちょっと変なおじさんが出てきただけで、不審者とかじゃないんで!」
「すごくいい子でしたよ」
「ハルキ、最後にハグ」
「ほら、真夏も」
「ハルキ、ばいばい。私たちのこと忘れても、楽しかったなーって気持ちは覚えといてな」
「詩的やな」
「手震えてるやん」
「初めての感情やな。めっちゃ寂しい」




1日を振り返って

「真夏ちゃんが戸惑ってるのが俺は新鮮やった」
「そうやな。真夏ちゃんのイメージってストイックでスマートになんでもできる感じやからさ」
「子供にあんな戸惑う!?ってくらいビビってたで」
「そんなやった?」
「そんなやったで。ずっと不安そうな顔してた」
「実際、どうやったん?」
「ずっと不安やった」
「不安やったんかい!」
「周りに子供っておらんかったからさ、どうしてええかわからんねん。いつもの感じでいったら絶対泣かせてまうって思って」
「それはそうやろな。普段怖いもん」
「怖くはないやろ」
「照史すごいなーって思った」
「俺?」
「みんなすごいねんで!?もちろん!神ちゃんとかはまちゃんも!でも、照史はずっと視線がハルキに向いてて、大事に守ってる感じした。絶対ええパパになるって思った」
「ちょ、待って、急に褒めんといて、ビビるわ」
「自分、顔真っ赤やで?」
「真夏にそう思われて素直に嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい」
「待って、私も顔熱なってきた。あっつ」


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