リフレインで溶ける



一人一人に用意された楽屋。
換気のために開けっ放しのドアからソファまで余裕で3メートルはある。
出番までまだまだ時間があるからか完全にプライベートモードの真夏はソファに寝っ転がってストレッチするかのように脚を投げ出してた。
ワンピースのままで。

「パンツ見えんで」
「うへあっ!?嘘やん!?」
「こっちのセリフや。どんな格好してんねん」

俺の声にバッて真夏がワンピースの裾を目一杯引っ張って、持ってたスマホが宙を舞って床に落ちた。
危ないなー、画面割れたんちゃう?
びっくりして変な表情になった真夏がこっちを見た。

「え、はまちゃん、は?え?覗き?」
「なんで俺が覗くねん。逆に感謝しいや?たまたま俺がここ通ったから注意できたけど、俺以外やったらどうするん?」
「あははー、ごめんごめん、ちょっと休みすぎてたな。てか、見た?」
「自粛期間長かったからなー、リラックスしてまう気持ちもわかるけどさ」
「見た?」
「スマホ拾ったら?画面割れてへんか確認した方がええで?」
「はまちゃん、……見た?」

3メートル向こうから焦った顔でじっとこっちを見る目が、自粛前より大きくなった気がする。
そういえば、さっき望が『真夏は自粛期間中にメイク研究した言うてた!』って言ってたな。
セルフプロデュース頑張ってたんかな。
休み中もしっかり努力してたやん。
……なんて、それだけやってたわけじゃないってわかってるけど。

「え?なにが?」

下着のこと?
それとも、太ももに何個か赤い印ついてたこと?

「見た!?見えてた!?え、あ、うえ、そこからどこまで見えるん!?」
「さあ?どうやろ?」
「待って!?ほんまに待って!?はまちゃん!!!」
「俺なんも言うてへんし。でもほんまに気つけや?結構目立つから」
「……っせ!正座しますわ!!!」

なんで正座なん?
ってほんまにしてるやん!
ワンピース綺麗に揃えて、脚まったく見えへん。




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