「帝人君」
その人は突然現れる。
何処だって、何時だって。
とんだ暇人だ。
僕の家にまで来るなんて。
「何しに来たんですか? 臨也さん、僕もう寝るんですけど」
「酷いなぁ、冷たくしないでよ。帝人君に会いに来たのに」
頼んだ覚えは無い。
「暇なんですね」
「うわぁ、侵害だなぁ。急いで仕事終わらせて来たのに」
絶対嘘だ。
仕事はどうせ、波江さんとかに押し付けて来たんだろう。
押し付けられる波江さんが可哀想だ。
急いできたのも嘘だ。
急ぐ必要が、この人には無い。
「何で来たんですか? 静雄さんに見つかったらどうするんですか?」
「!嬉しいなぁ! 俺の心配してくれるの??」
噛み合わない。
この人と話をしてると、おかしくなりそうだ。
「いい加減、理由を言わないと僕が呼びますよ? 静雄さん」
「ちょっ、分かった。言うから! シズちゃんは…」
「で、何しに来たんですか」
「君、今日誕生日でしょ? お祝いに」
「?忘れてました」
「あはは、自分の誕生日忘れてたの?」
忘れてた。
でも、自分の誕生日なんてどうでもいい気がする。
もう直ぐ終わるし。
……あぁ、だからこの人急いで来たのか。
「てか、なんで臨也さんが僕の誕生日知ってるんですか?」
「何言ってんの? 俺は情報屋だよ? いろんな事を知ってるんだ」
「……そうでしたね」
「……何か、欲しいものない?」
「?」
「誕生日プレゼントだよ。一つくらい欲しいものあるでしょ?」
こう言うことか。
欲しいもの……。
「特に……」
「何でもいいよ。俺が出来る範囲でなら」
「臨也さんが出来る範囲が分からないですよ………あっ」
一つだけ。
「何、何かあった?」
「何でもいいんですよね?」
「俺が出来る範囲でね」
「臨也さんを下さい」
君に、最高のプレゼントを
(それって、どう言う意味で?)
(性的な意味で、ですよ)
(因みに、僕が上なんで)