君に最高のプレゼントを

  • 表紙
  • しおり


  • 「帝人君」

    その人は突然現れる。
    何処だって、何時だって。
    とんだ暇人だ。

    僕の家にまで来るなんて。

    「何しに来たんですか? 臨也さん、僕もう寝るんですけど」

    「酷いなぁ、冷たくしないでよ。帝人君に会いに来たのに」

    頼んだ覚えは無い。

    「暇なんですね」

    「うわぁ、侵害だなぁ。急いで仕事終わらせて来たのに」

    絶対嘘だ。

    仕事はどうせ、波江さんとかに押し付けて来たんだろう。
    押し付けられる波江さんが可哀想だ。

    急いできたのも嘘だ。
    急ぐ必要が、この人には無い。

    「何で来たんですか? 静雄さんに見つかったらどうするんですか?」

    「!嬉しいなぁ! 俺の心配してくれるの??」

    噛み合わない。
    この人と話をしてると、おかしくなりそうだ。

    「いい加減、理由を言わないと僕が呼びますよ? 静雄さん」

    「ちょっ、分かった。言うから! シズちゃんは…」

    「で、何しに来たんですか」

    「君、今日誕生日でしょ? お祝いに」

    「?忘れてました」

    「あはは、自分の誕生日忘れてたの?」

    忘れてた。
    でも、自分の誕生日なんてどうでもいい気がする。

    もう直ぐ終わるし。

    ……あぁ、だからこの人急いで来たのか。

    「てか、なんで臨也さんが僕の誕生日知ってるんですか?」

    「何言ってんの? 俺は情報屋だよ? いろんな事を知ってるんだ」

    「……そうでしたね」

    「……何か、欲しいものない?」

    「?」

    「誕生日プレゼントだよ。一つくらい欲しいものあるでしょ?」

    こう言うことか。
    欲しいもの……。

    「特に……」

    「何でもいいよ。俺が出来る範囲でなら」

    「臨也さんが出来る範囲が分からないですよ………あっ」

    一つだけ。
    「何、何かあった?」

    「何でもいいんですよね?」

    「俺が出来る範囲でね」



    「臨也さんを下さい」



    君に、最高のプレゼントを

    (それって、どう言う意味で?)
    (性的な意味で、ですよ)

    (因みに、僕が上なんで)

    ALICE+