僕にほんの少しの勇気を下さい

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  • 「そっ、園原さん!」

    僕は竜ヶ峰帝人、来良学園の二年生。

    園原杏里、来良学園で一年生の時から同じクラスで、仲のいいクラスメイトだ。


    本当はもう一人、紀田正臣。
    小学校からの友達。

    僕達の知らない間に学校を辞めていた。



    会いたいけど、正臣が何処に居るのか分からない。

    何時か帰ってきてくれると信じて、二人で正臣を待つことにした。


    まぁ、正臣の事だからいつの間にかひょっこり、帰ってくるんじゃないかと思うけどね。


    で、園原さんとは正臣が居なくなった後も仲良くしてる。


    そして、僕は、園原さんが好き……なんだと思う。

    最近気付いた、この気持ち。

    僕は正臣みたいに積極的じゃないし、話すのは苦手だ。


    特に女の子となんて、会話をするのもやっとで、告白なんてした事ないし、しないと思ってたし……。

    でも、園原さんは可愛いし、モテるって言うかなんて言うか……。


    兎に角! 行動に出ないと正臣にも笑われるよね。

    僕自身もこんなんじゃ嫌だ。

    折角、毎日一緒に登下校してるんだから!


    「? 何ですか、帝人君」

    「あ、あのさ。これからどっ、何処か寄って行かない?」


    「……良いですよ」

    「ほっ! 本当!?」

    「はい」

    やった。
    今までことごとく失敗してきたけど、今日は頑張れるかもしれない。


    「園原さんは、何処か行きたい場所ある?」

    「私は、特に無いです」

    「そ、そうだ……よね」

    帝人! 頑張るんだ帝人!!

    「じゃあ! この前行った、喫茶店にでも行こうよ」

    「そうですね、ここから近いですし」


    前に二人で園原さんと張間さんの話しを聞いた、喫茶店に行く事に決まった。

    喫茶店に入って、注文を受けて、飲み物が来るのを待つ。

    待つ……。
    気まずい、何か喋らなきゃ。

    誘ったのは僕なんだから、僕から話題を振ってかないと……。


    「「あの」」

    「………先にどうぞ」

    「いっいや、園原さんが先でいいよ!」

    「いえ、帝人君から」

    「えっ、その…今日は、天気がいいね……」

    「そうですね……」

    「………」

    駄目だ!
    僕には、積極的になるのは、無理だ!


    「帝人君」

    「……はい?! なっ何? 園原さん」

    ……声が裏返っちゃった。
    多分僕の顔は真っ赤だ。

    「その、園原さんって言うの、止めませんか?」

    「え? もしかして、嫌、だった?」

    「いっいえ! そんな事は無いんです……。その……お友達なら、名前呼びの方がいい気がして」


    ……名前で呼んでもいいってこと、なのかな?

    「えっと、名前で呼んでいいの?」

    「帝人君が良ければ」


    「杏里………ちゃん…?」

    僕には呼び捨てはまだ無理……。


    「……はい」

    それでも、その……杏里ちゃんは微笑みながら返事をしてくれた。

    一年生の時に比べて、大分進歩したと思う。


    「あの、杏里ちゃん」

    「何ですか?」


    「言いたい事があるんだけど……」

    頑張るんだ、僕。


    「あの、えっと」

    「?」

    言え、告白するんだ。


    「その………もう直ぐ体育祭だね……」

    駄目だ、言えない……。


    「そう、ですね」

    「これから委員会、忙しくなるね」

    「はい」

    「「………」」

    また、話し止まっちゃった……。



    僕にほんの少しの勇気を下さい

    (あと、少し)
    (ほんの少しの勇気でいいから)

    (誰か、僕の背中を押して下さい……)

    お題提供
    Smile! :-)』様

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