企画「帝人絶対幸福論様」へ提出




−田中太郎さんが入室されました−

「こんばんは」

「ばんわー☆」

「今日は、甘楽さん一人なんですか?」

「ですねー。皆さん、最近忙しいみたいなんですよぉ」

「そうなんですか」

・ ・ ・

内緒モード

「帝人君さ、明日暇?」

「暇ですけど…。なんですか?」

「明日池袋駅東口のビック●メラ前に、1時に来てよ」


「別にいいですけど…」

「じゃぁ、明日ね」

・ ・ ・

「明日用事あるんで、今日はここで! おやすー」

「はい。お休みなさい。僕も今日はこれで、お疲れ様でした」

―甘楽さんが退室しました―
―田中太郎さんが退室しました―


♂♂



1時
ビック●メラ前

臨也さん遅いな…
言われた通り、東口近くのビック●メラ前に来たのに、臨也さんはまだ来てない。

数分後…


「ごめん、帝人君。待たせちゃったみたいでっ」

臨也さんは走ってきたらしく、少し息が荒い。

「いえ、大丈夫ですけど、お仕事があったんじゃないんですか?」

「いや、1時には借金の回収でシズちゃんが池袋から出てくはずだったんだけど、何か時間変わったらしくてさ…」

「それじゃぁ、仕方ないですよ。そんなに待ってませんから、気にしないで下さい」

「ありがと」


話し終わって、臨也さんに連れて行きたい場所があるって言われて着いて行った。

「臨也さん、何処に行くんですか?」

ビック●メラ前から移動してサンシャイン通りを通ってどんどん歩く。

「んー、秘密」

「はぁ…」

何度聞いても、秘密としか答えてくれない。

仕舞いには口元に指を当てて、ウインクしながらひ・み・つと言われた…
何がしたいのかさっぱりだ。

見慣れた道をただ歩いてるだけ。
何時もと違うのは、隣に臨也さんがご機嫌で歩いてること。

それだけでも嬉しいけど…

「ねぇ、みか…」

臨也さんが何か言おうとした瞬間、後ろの方から臨也さんの声を遮る様に大きな音がした。


「いーざーやぁあ! テメェが何で、池袋に来てんだぁああ゛!?」

「「!!」」

大きな音は、静雄さんが標識を抜いた音だったらしい。

「…シズちゃん。な、何で居るのさ」

「ぁあ゛? お前に関係ねぇだろ! それに、こっちが聞いてんだっ答えやがれ!!」

臨也さんと静雄さんの喧嘩が始まりそう。
臨也さんは危ないからって、僕を背中に隠した。

こっちの方が危ない気が…なんて、口が裂けてもいえない

「シズちゃんだって関係無いだろ?」

「うるせぇ! 今度こそぶっ殺してやる!!」


「はぁ、帝人君。シズちゃん撒いて来るから、待っててくれない?」

「………」

折角のデート…だったのに………。

「…撒いたら直ぐに戻ってくるから」

臨也さんは優しく微笑みながら、僕の頭を撫でた。

「ふふっ、くすぐったいですよ」

僕はその行動がくすぐったくて、思わず笑ってしまった。

「………直ぐ戻ってくるから、帝人君の家に居て」

「ぇ? 僕の家ですか?」

「うん、待っててね」


そう言って、臨也さんは手を振りながら走っていった。
走っていった臨也さんの顔が少し赤かったのは、気のせいかな…

静雄さんは僕が居ることに気づいていたみたいで、僕から臨也さんが離れるのを待っていてくれたみたいだ。
僕の家で臨也さんを待ってから、何時間も経っている。

そんなに経ってないかもしれないけど、僕にはとても長く感じた。

何処かで怪我でもしてるんじゃないかとか、もしかしたら、本当に殺されたんじゃないかとか…


不安で仕方ない。
探しに行きたいけど、臨也さんと入れ違いになるのも困るし…。


ピンポーン

考えていると家のインターホンが鳴った。

急いで玄関に向かって、ドアを開けた。

「臨也さん!」

「やぁ」

今日会った時みたいに、息が荒い。
でも、その時と違うことがあって

コートはボロボロで、傷だらけだった。
それに、臨也さんは腕を押さえてて、もう、心配で仕方なくて…

「あ、あの…大丈夫なんですか?」

声が震える。
だって、大丈夫なはずが無い。

なのに、あんな言葉しか掛けられなくて…


非日常を望んでるくせに、それが目の前に現れるとどうにも出来ない僕が憎い。
好きな人すら守れない僕が憎い…

「帝人君。大丈夫だから、泣かないでよ。俺は君の前から消えたりしないから…ね?」

臨也さんは僕の思ってることを見抜いてしまっているのか、分からないけど
それでも、臨也さんが言った言葉は、僕を救ってくれる。

「俺は居なくなったりしない。だから、笑ってほしいなぁ」

だから、僕は、臨也さんの前では笑顔で居ようと思う。


「はいっ」

今は上手く笑えてるか分からないけど…

それでも、臨也さんはそばに居てくれて
僕を抱きしめてくれる。

「帝人君の事好きだよ? 愛してる」

「僕も臨也さんが好きです」


「んー、でもやぱり……」

…なんだろう、その間が余計に不安を駆り立てるんですけど

「やっぱり、笑顔じゃなくてもいいや」

「…なんでですか?」

やっぱり、女のこの方がいいとか言われるよりましだけど…

臨也さんが言うから、笑顔で居ようって思ったのに……

「だってさ、何か…我慢出来なそうだから」

「?」

臨也さんは苦笑いを浮かべながらそう言った。

我慢ってなんだろう?
僕は首を傾げる事しか出来ない。

何を我慢できないのか知らないけど、僕の決意を踏み躙った臨也さんに復習の為に、めいっぱいの笑顔を見せてやる。

「……、帝人君。部屋に上がってもいいかな? 怪我した所が痛くて」

「!そうですね、手当てします!」

「ありがと」





その笑顔は反則だから


帝人の小さな復習が仇となり、臨也に美味しく頂かれたのは 秘密。

(シズちゃんから逃げる時に見た笑った顔でも危うかったのに、あんな事されたら誰でも我慢なんか出来ないでしょ?)


提出先
帝人絶対幸福論

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