教え子に好意を抱くなんて、俺らしくもない。
『で、シカマルにそう言っちゃったんですけど、何か聞かれても気にしないで下さいね?』
この子は、まあ、シカマルが好きみたいだけど……。
「あー、うん」
『カカシ先生ー? 私の話しちゃんと聞いてました?』
「聞いてたヨ」
最近、この子に会えばいつも愚痴ばかり。
テマリとシカマルが付き合いだしてからこんな話ばっかり聞かされてる。
流石に俺だってへこむ訳だけど、この子は気づいてないんだろうなー。
『本当かなぁ。またイチャパラなんか読んでるし』
そりゃ、好きな女から他の男の名前が出てくるのをのうのうと聞いてろってのが無理だよ。
夢子は知らないから仕方ないけどサ。
『でも、諦めはついたんですよ……。次に進めるかは、分からないですけどね』
「……そっか」
そう言って切なそうに笑う夢子を抱き締めたくなる。
俺が居るから早く忘れなよ、なんてキザな言葉でも言えたなら、どんなに楽か。
こんな年にまでなって、本気になった相手には奥手なんてアホらしい。
『カカシ先生は今いい人いないんですか?』
「んー、居なくもないんだけどね。その子、鈍感で」
『そうなんですか! その子勿体無いですねぇ、エリート忍者に片想いされてるなんて』
その鈍感で勿体無い事してるのは君なんだよ。
『先生は実ると良いですね!』
「そうだねぇ、難しいかもしれないけど、頑張ってみるヨ」
夢子が振り向いてくれるように。
否、俺も貴女が好きでした
(そしてこれからも。今のポジションから必ず君の恋人になってみせる)