『銀ちゃんっ、起きてよ!』
「あぁ?」
今日は何か騒がしいな……。
てか、夢子が何でココに居るんだ?
昨日は来るなんて言ってなかったのに……。
『早く起きてよ! 今日、銀ちゃんは仕事あるんでしょ!?』
「ふぁ〜、ハイハイ起きますよ〜」
『もう、神楽ちゃんは起きてるよ、朝ご飯出来てるから食べてね』
「おぅ」
今日は、10月10日……。
俺の誕生日、誰も知らねぇって事はないはずだ。
夢子は絶対知ってるはずなのによ、何時もと一緒だ。
別に誕生日なんて気にしてないけどなっ!!
『どうかしたの? 銀ちゃん食欲無いの……?』
俺が飯中に悩んでいるのを食欲が無いと勘違いしたのか、夢子は心配そうな顔をしながら覗き込んできた。
「違げぇよ、ちょっとした悩み事だ!」
『よかったぁ!』
「っっ」
夢子はすごく安心した顔をしながら微笑んだ。
可愛いなっ! 照れるじゃねぇかコノヤロー!!
やっぱ、俺コイツのこと好きなんだなぁ。
「そういえば、神楽は?先に起きてたんじゃねぇのか?」
『銀ちゃんが起きて来るのが遅いから、ご飯食べて定春の散歩に言ったよ』
「言われてみれば、定春も居ないな……。新八は?」
『買出し頼んだから……もうすぐ帰ってくるんじゃない?』
「そうか……。食べ終ったことだし仕事に行ってくる」
『行ってらっしゃい!』
夢子はニコニコしながら俺を送り出した。
何時も通りの日常。
でも、ぽっかりと穴が空いた様な間隔。
今日の仕事は身が入らなかった。
夜の7時頃、万事屋に着いた。
万事屋はまだ明かりが着いているが、まったく音がしない。
「はぁ〜」
溜息を付きながら階段を上がる。
ドアを開けると……。
「ただい『「「誕生日おめでとう(アル、ございます)!!」」』」
「へ!?」
俺が入った瞬間クラッカーの音が響いた。
変な声が出ちまったじゃネェか!
『お帰り、銀ちゃん!』
「ただいま……」
「何ボーっとしてるんですか!?」
「そうアル! 早くゴハン食べたいアルヨ!!」
『今日は銀ちゃんの誕生日でしょ? だから皆に手伝ってもらって用意したんだよ!」
てっきり、皆俺の誕生日なんて忘れてるのかと思ってた。
中へ進んで行くと……。
「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」
「!!?」
そこには、クソババア、お妙、ズラにマダオに、多串君とか総一郎君とか……。
いろんな奴が来てくれてた。
『今日の為に頑張ったんだよ!』
「そうですよ、料理は僕達も手伝いましたが、人を集めたのは夢子さんだけでなんですよ」
「見た時私もビックリしたアル!」
『エヘヘ、銀ちゃんに喜んでほしくて』
「……っ、ありがとよ」
照れながらそういう夢子に、俺も照れながらもお礼を言った。
やっぱり誕生日を祝って貰うのは嬉しいもんだなぁ。
ケーキを食べて、皆で馬鹿騒ぎして、疲れきって寝静まった後。
「なぁ……」
『なに? 銀ちゃん』
「こうやって、いろんな奴に祝ってもらうのも良いけどよぉ」
『ん?』
「来年は、二人きりで祝いたいんだけど……」
『銀ちゃんの誕生日だもん、銀ちゃんがそうしたいなら来年は二人で祝おうね!』
「おう!」
最後に、甘い甘いキスを交わした。
「ありがとな、夢子」
最高の誕生日に大好きなキミと……。
(銀ちゃん!生まれて来てくれてありがとう!!)