ザァー
風で木が大きく揺れている。

『うわっ、すごい風だなぁ』

ザァー!

『キャッ! 痛っ、めっ目に砂が……!』

今日は朝から風が強い。
私が庭先を通った時、大きな風が吹いて、目に砂が入っちゃった。

『痛いよ〜、砂が取れない……』

目を擦りながら廊下を歩いてると……。

「どうしたの? 夢子ちゃん」

『ん? 良い所に! 助けてジミー!!』

「ちょっ、夢子ちゃん!? 助けを求める相手にソレはないんじゃない!!?」

山崎は少し落ち込み気味に言った。

「助けて欲しいなら、せめて名前くらいちゃんと呼んでよ」

『退、助けて』

「良く出来ました。で、どうしたの?」

『……、目に砂が入っちゃって』

「じゃぁ、上向いて」

『ん』

「瞬きして、目薬差してみて」

そう言って、ポケットから目薬を出した。

『そのポケットは四次元はポケットかい?』

「何言ってんの……?」

『だって、この前は絆創膏とか消毒液だったり、飴とかいろんな物出て来たし……』

「だって夢子ちゃんよくケガするし、それに、夢子ちゃんが好きだから……」

『ん? それに、何?』

「何でもないよ、それより、目治った?」

『あっ、そういえば痛くないや! ありがと退!!』

「どういたしまして」


『今度さ、2人でどっか行かない?』

「えっ?」

『今までの御礼も予て、……初デート!』

「えっ!? あれ聞こえてたの!!?」

『実はね。私も退のこと大好きだよっ!』

照れながら僕の事を大好きだと言ってくれた夢子ちゃんはとても可愛くて、今まで言えなかった事を僕は今言う。

「僕も夢子ちゃんが大好きだよ」



そのポケットの中
  (君を何時も見てたから)

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