兎は寂しいと死ぬって言うけどそれは兎だけじゃない
  • 表紙
  • しおり

  • 『阿伏兎さん』

    「何だ?」

    『兎って寂しいと死ぬんですよ』

    「はぁ?」

    何言ってんだコイツは。
    兎ったって俺は夜兎だぞ、寂しくて死ぬ訳ないだろ。

    『だから、兎は寂しいと死んじゃうんです!』

    「だからって俺達は死なないし、お前は夜兎でもないだろ」

    そう、コイツは夜兎でなく人間だ。

    『でも、寂しくて死ぬのは兎だけじゃないんです。ハムスターとか、人間とか……』

    「ようするに、この前お前だけ置いて任務に行ったからそんな事言ってるんだろ」

    『だって、寂しかったんですよ! 死ぬかと思うくらい……。予定より帰って来るの遅いし、阿伏兎さんがこのまま帰って来なかったらどうしようってっ……!!』

    「分かった、分かった。悪かったよ、夢子を置いてった事」

    ったく、可愛いヤツ。
    オジサンどうにかなりそうだ。

    『私が寂しくて死にそうになるのは、阿伏兎さんだけです』

    「俺も夢子が居なくなったら死んじゃうかもな」

    『何でですか?』

    「それ、聞くか?」

    『聞きだいです』

    「……そりゃ、愛してるからだろ。すっとこどっこい」

    『私も、阿伏兎さんが好きです!』


    その後。
    阿伏兎が部屋から出ると……。

    「阿伏兎、イチャイチャしてると殺しちゃうゾッ!」

    「なっ! 団長!!?」

    書類を持った神威がドアの前に……!



    兎は寂しいと死ぬって言うけど其れは兎だけじゃない

    (夢子、寂しくて死ぬ前に団長に殺されそうだ)

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