一体、何が起きたというのだろう

警察を目指そうと思ったきっかけは覚えていない。けれど、警察学校で彼らの姿を見た時に私が警察を目指そうと思ったきっかけはこれだったんだと思った。物語の中で亡くなってしまう彼らが、私の目の前で生きている。何とかして、救いたいと思った。

友人として彼らと仲良くなったことで、彼らを救いたいと言う気持ちはより強くなった。でも、私一人で全てを何とかすることは出来なかった。だから、バタフライエフェクトに賭けてみた。

萩原の死さえ回避できたら未来が変わるかもしれないから。そうして迎えたあの日が、私の運命を変えた。「一旦交代。私が見とくから、ちょっと休憩でもしてきな」と萩原を爆弾の前から遠ざけて、目の前に鎮座する黒い箱を見下ろす。

再び動き出したタイマーを見ても、不思議と恐怖心は無かった。体を包む熱と衝撃。体を裂かれるような痛みに意識を飛ばして、次に目が覚めたら、いつも通りの朝だった。夢だったのかと首を傾げた私の元にかかってきたのは萩原からの電話。

「もしもし、萩原?朝っぱらから何の用?」と混乱しながらも電話に出れば「香澄ちゃん、」と泣きそうな声で名前を呼ばれる。「なに?」と返事をしても「香澄、ちゃん」と萩原は私の名前を呼ぶばかり。

「うん。だから何って」と続きを促すけれど萩原は縋るように、何かに祈るように、ひたすらに私の名前を呼んでいた。何とか宥めて電話を切った私は、携帯の画面に表示された日付を見て目を疑った。

私が萩原の代わりに死んだ日から、日付が巻き戻っている。「どういう、こと…?」と考えてみても答えが分かるはずもない。そして、迎えたあの日。同じように現場に向かった私と萩原だったけど、あの日とは少し違っていた。

「俺に、任せて」と優しく笑った萩原が私の頭をぽんと撫でるから驚きながらも「よろしく」と笑って返す。ほんの少しの違和感を覚えながら暫く待機した後に萩原の元へ向かえば、爆弾は既に解体が終わっていた。

「もう、終わったの…?」と驚きながら萩原に声をかければ「任せてって、言ったでしょ」と綺麗にウインクをした萩原が笑う。それから私の元へやって来た萩原が「来てくれて、ありがとう」と嬉しそうに頬を緩めるけれど、私の頭の中は疑問でいっぱいだった。一体、何が起きたというのだろうか。
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