Sushi



1000文字以内の短い小説です。名前変換無しナマエ固定。
脳内補完してください。

2022/06/02(Thu)

dnd夢

 だって私はなんでもないただの人間で、特別なことなんかなんにもなくて、でもダメなとこは沢山あって、ダメなとこしかなくて、それでもここまで私なりの人生を歩んできた、ただそれだけで。
 だから、この先も大きな出来事なんか起こらなくて、起こすつもりもなくて、それで、それで。

「それで?」

 それで、だから、私は。

「むり、です」
「どうして?」
「だって、わ、たし、は」

 わたしは、私は、どうして目の前の人を拒絶しているのだったか。掴まれた腕が、突き刺さる視線が、怖くて、恐くて、上手く頭が回らない。でも逃げなきゃ、逃げたい、のに。
 口を開けずにいると、至近距離にある二つの満月がにっと三日月に変わる。

「ほら、帰ろう。キミは疲れているんだ」

 「そうだろう?」と疑問符を付けながらもこちらの話には一切興味がないこの人は、先の言葉通りに私の腕を引っ張って歩き出し、私は足をもつれさせながら着いていくことしか出来ない。
 ダメなのに。ムリなのに。なにが?一体何がダメで、ムリで、私は。

 ふっと視界が暗くなる。その原因である頭上に被せられた重い布を取り払おうと片手でもがくが、気が付けばその布に全身を包まれていて足が宙に浮く。

「帰ろう、ナナシ。オレたちの家に。……フフ、キミは何も考えなくて良いんだ」

 おやすみ、と布越しに囁かれたのを最後に、私は考えることが出来なくなった。

dnd夢


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