05 また、きみと同じだ〈2〉




 桃矢君はわたしが不思議な霊感みたいなものをもっていることに気づいていた。

「……うん……わかってる」

 恐る恐るこたえたら、桃矢君は「やっぱりな」と言って視線をさくらちゃんの方へ向けた。

「とりあえず帰るぞ、ここにいたらさくら達に気づかれる」

 桃矢君は、まだ少し混乱しているわたしの腕をつかむとずんずんと自転車のところまで歩いていった。
 そして自転車に乗ってちょっと離れたところまで行くと、自転車を降りてまた歩くことにした。

「桃矢君はどうしてあそこに?」
「バイトの帰り。まなみこそこんな時間に買い物か?」
「お米がなくなりそうだったから買いに行ってたの。……そしたらさくらちゃんが友枝小学校に入っていったから、ついていって、それで……」

 わたしの頭の中には歌帆の言っていたことが浮かんだ。

『女の子よ。見守ってあげてほしいの』

 歌帆が言っていた女の子というのは、さくらちゃんのことかもしれない、そう思った。

「さくらちゃんがやってたことに桃矢君は気づいてるって、さくらちゃんは知ってるの?」
「いや、知らねーよ。あれでもさくらは隠してるみてぇだし」
「そう……」

 わたしは歌帆に言われたことを桃矢君に話そうと思った。
 聞いた感じじゃ、桃矢君もそこまで詳しくは知らないみたいだし。

「わたしね、前からこの友枝町に来るってわかってたの」
「は?」
「イギリスにいたころある人に言われたの。この友枝町にきたら、女の子を見守っててほしいって」

 暗くてよく見えなかった桃矢君の顔が、月明かりに照らされてよく見えた。
 すごく整った顔だな、なんて思いながらわたしは話を続けた。

「すごく不思議な力をもってる人でね……まだわたしが日本に帰る予定なんてなかったのに、その人はわたしがいずれこの町に来るからって言ったの」
「……で、その通りになったってことか」
「それに、これから訪れる先にいろんなことが起こるって……きっとこのことなんだと思う」

 ゆっくり歩いていたつもりが、もう自分の住んでるアパートが道路の先に見えていた。

「その女の子が、さくらってことか」
「きっとそうなんだと思う」

 いったいさくらちゃんが何をしていたのか、わたしにはわからない。それにわたしが見守るって、どういうことなんだろうか。
 わたしには霊感みたいなものがあるだけで、歌帆の言っていたことの何の意味もわかってないのに。

 でも桃矢君がわたしと同じように、霊感があってさっき起きたことをわかっている人でよかった。

「桃矢君」
「ん?」
「ありがとう」
「何がだ」
「うーんと、……いろいろ」

 歌帆の言った通りのことが起こって、不安だった気持ちが楽になったのは、桃矢君のおかげだ。

「何かあったらおれに言えよ」
「桃矢君だったら、言わなくても何かあったらわかっちゃうんでしょ?」

 だって桃矢君はすごい力を持ってるから、きっと何でもわかっちゃう。

「おいまなみ、明日の朝はゆきと待ってろ」
「どういうこと?」
「いっしょに登校しねぇか、嫌ならいいが」

 わたしは思いもしなかったことにすごく驚いた。

「嫌なんて……いっしょに行っていい?」
「うし、決まりだな」




また、君と同じだ
(桃矢君もゆーれい見えるんだよね?)
(まなみも見えるんだろ?)
(そういう人にあったの2人目なの)