04 気づかない訳ないでしょう〈1〉

 


 何か不思議な気配がする。そう思ったのは夜、何となしにテレビをみていたときだった。

 クロウカードのときにあったような感覚…これがもう亡くなったはずのクロウさんの気配なのだろうか。

 またさくらちゃんに何かあってはいけないと、さくらちゃん家に電話をかけた。けれど留守電になってしまう。今木之本家の人は誰もいない。
 多分藤隆さんは仕事で、桃矢君はまだバイトの時間だったはずだ。普段ならお家にいるはずのさくらちゃんはこの気配に気づいてもうどこかに出かけてしまった後なのかもしれない。
 わたしはまだお風呂上がりで生乾きの髪をかるく結んで、部屋着の上に一枚羽織ってから外に飛び出した。




 まず自転車でさくらちゃん家の前まできてみると電気がついていない。やっぱりどこかに出かけてしまっている。
 わたしはクロウさんの気配らしきものをたよりに今きた道を引きかえすことにした。

 進んでいるのは公園の方向。
 さくらちゃんはきっと公園の方にいる。ついさっきから何か沢山の力を公園の方向から感じるのだ。

 さくらちゃんにケロちゃん、それに李君もいる。
 でも本当にそれだけ…?何か他にも…感じるものがあるような気がする。


 公園へ着くと、そこにはついさっきまで魔法をつかっていたであろうさくらちゃんが李君の腕のなかにいた。

「さくらちゃん!」
「……ッまなみさん!」

 この前と同じくただ眠っているみたいで安心した。わたしの姿をみて知世ちゃんは声をあげそのすぐ後小さくこんばんはと挨拶をしてくれた。
 さくらちゃんの身体を見てもとくに目立った傷はなくて、衣装もとても綺麗だった。そして綺麗じゃないのは李君の方。

「大丈夫?ケガしてない?」
「は、はい…!」

 確かにケガはなさそうだけれど、服が乱れていて所々が濡れている。
 何があったかはそこにいるケロちゃんに聞くのが一番早いだろうと思って、わたしはケロちゃんに何があったのかと説明をもとめた。



 クロウさんの気配がしたところへ駆けつけたさくらちゃん、李君、知世ちゃん、ケロちゃん。
 すると突然李君が何者かに操られ身内を攻撃しはじめた。李君はその原因が糸のような物だと気づき自ら水に濡れて周りのみんなにその糸が見えるようにし、気がついてもらうことに成功した。
 そしてさくらちゃんが魔法でクロウカードをさくらカードに変え、前と同じように倒れてしまったのだ。

「もうこんな時間だからみんな早くお家に帰ろうか」

 すぐそこだという李君に迎えがくるという知世ちゃん。
 わたしはケロちゃんの力も借りてさくらちゃんを家まで送り届けることにした。