10 正直に会いたいなんて言えないから〈2〉




「おはよーっ」
「みんな久しぶりだねー!」

 きょうから新学期の教室はなんとなくにぎやかで、みんな朝から夏休み中の思い出話にはなをさかせていた。
 とくに夏休み中何もなかったわたしは、桃矢君達と待ちあわせすることもせず先に学校にきていた。

 そしてぼーっと教室の戸をながめていたら桃矢君と月城君が入ってきた。

「おはよう、まなみ」
「おはよう」
「あ、おはよう2人共」

 2人が机につくと、少し小さめの声で桃矢君がわたしにむかって話をしだした。

「ありがとな」
「?」

 わたしはそのお礼の意味がわからずに首をかしげた。

「きょう、母さんに会ったんだ」
「!」
「今回の池であったこと、心配だったんだと」

 驚きのあまりわたしは声をだすのを忘れていた。

「まなみがさくらを見てたの知ってか、ありがとうって伝えてくれって」
「……………」
「でも、それ言ったらすぐいなくなってた」

———見てたんだ、わたしのこと……。

 そうしたら何となく今もさくらちゃんや桃矢君のこと見てるのかな、なんて思って窓の外をみた。もちろんそこに撫子さんがみえる訳じゃないんだけど。

「いつでもさくらちゃんと桃矢君のこと、見守ってるんだね」
「心配なんだろうな、おれ達が」
「……親だもん、当たりまえだよ」

 わたしは無性にお父さんとお母さんに会いたくなった。




正直に会いたいなんて
言えないから

(それにしても、撫子さんに見覚えがあるのは何でだろう?)