14 まだ、まだ、まだ、〈2〉




 つぎの日、さくらちゃんが月城君に用があるからといってグラウンドの大きな木のところで時間がくるのをまっていた。
 わたしと月城君の横の大きな木に桃矢君は腰掛けている。

 月城君に用なんて、誕生日プレゼントを渡すとしか考えられないけど、はっきり言ってないところがさくらちゃんらしくて可愛い。
 実はわたしもその後にプレゼントを渡そうと、桃矢君と買いにいったマフラーを手提げかばんにいれて隠しもっていた。

「何?あのガキがうちの近くにいたー?!」
「すぐ帰っちゃったみたいだけどね」

 月城君はきのうの夕方、李小狼君が桃矢君の家の近くにいたのをみたらしい。
 そのときもなぜかすぐ走りさっていったみたいだけど。

「いっぺんしめてやろーか」
「それ本気?」
「そうやってさくらちゃんに近づいてきた子たちみんな追っぱらってたの?」

 桃矢君は本当にいまから殴りこみにいくんじゃないかと思うぐらいのオーラをはなっていた。

「そろそろ約束の時間かな、ぼくに用ってなに?」
「わたしたいもんがあるんだと」

 するとさっきからひらひら落ちていた枯れ葉が月城君の肩にのっていた。

「ゆき、また葉っぱついてっぞ」

 桃矢君がその枯れ葉をとった瞬間、桃矢君のその左腕におふだみたいなものがとんできて、ボッと音をだして燃えだした。

「わっ!」
「きゃあっ!」

 なんとかその火を消すと、わたし達のすぐそばに李小狼君が立っていた。

「きのうの……!」
「てめー!」

 桃矢君はさっきまで腰掛けていた木の上から身をのりだして男の子を睨みつけた。
 その男の子李小狼君もひるむことなく桃矢君を睨みつけている。

「すみません、またせちゃって!」

 そこにちょうど小走りでやってきたさくらちゃんも、李小狼君がいることに戸惑ってか少し後ずさった。

 さくらちゃんがきたにもかかわらず、桃矢君と李小狼君はかわらず睨みあっている。
 さくらちゃんはそんな2人をみて目をぱちくりさせていた。

「あ、気にしないで……?」

 わたしはとりあえず微笑みながら、さくらちゃんが話をできるようにうながした。

「さくらちゃん、ぼくに用なんだって?」
「あのこれ……きょうお誕生日ですよね……」
「え?!」

 一体何事だろう、男の子が急に声をあげたから少しびっくりした。
 それからものすごい勢いで自分のあらゆるポケットに手をつっこみはじめた。

「わー!可愛いお茶碗とお箸だね」

 李小狼君は、話しを続ける2人にむかって走りだして、さっきポケットから見つけだしたであろう何かを月城君の目の前に差し出した。

「?」
「た……、誕生日……っ」

 いったい何をいいだすのか、顔を真っ赤にさせてお菓子を握っている。
 そして李小狼君のお菓子を握る手はかたかたと震えていた。

「もらっていいの?」

 李小狼君は月城君の問いに大きくうなずいて、また走りさっていった。

「なにもらったんだ」
「チョコレートだよ、2人もたべる?」

 もしかして、月城君のファン?
 そんなわけないかと思いながらも、あながち間違ってはいないかも、とも思った。