04 君と同じなんだ〈2〉
その日のお昼休み、わたしはあの鳥のことについて考えていた。
確かにわたしは鳥の姿を見た。そして鳴き声だってこの耳でしっかり聴いた。
「……まなみ?」
「へ?……あ、ごめんごめん!」
鳥のことに夢中になっていたわたしは、いっしょにお昼を食べていた桃矢君と月城君の話を聞いていなかった。
「……なんの話だっけ?」
「お前が友枝にくる前のこと……疲れてんのか?」
「だいじょうぶ?」
「き、今日早起きだったからぼーっとしちゃって……ははは」
うまくはぐらかしたつもりだったけど、どうやら桃矢君はわたしの言ったことを信じてないみたいだ。
あきらかにわたしのことを睨んでいた。
「で、話の続きは?」
「話!話ね!友枝町にくる前は、イギリスにいたの」
「イギリスに?すごいね!」
「生まれは日本だけど、他にもいろんな国に住んでたわ」
いろんな事情でこの友枝町にきたことを話すと、桃矢君と月城君も自分自身のことを話してくれた。
そしてまた今日もいっしょに帰る約束をした。
桃矢君のクラブがおわるまで、わたしは月城君に校内を案内してもらった。
「とーや、優しいでしょ?」
急に聞かれたからちょっとびっくりした。
どちらかというと昨日会ってから月城君とはすぐ打ち解けられたけど、桃矢君は比較的無口なせいかまだあんまり打ち解けられた気がしてなかった。
そういえば今日睨まれていたし。
でも桃矢君は優しくていい人だって既にわかっているから、もっと仲よくなりたいな、とは思っていた。
「とーや照れ屋だからあんまり口に出さないけど、まなみのことすんごく気にかけてる。お昼にぼーっとしてたの、心配してたよ?」
「……すっごく睨んでたけど」
「それ、とーやが心配してる証拠」
心配して睨むのはどうかと思ったけれど、月城君の話を聞いたら何故だかとっても嬉しくなった。
「わたし、桃矢君ともっと仲よくなりたいんだ」
「とーやも同じこと思ってるよ」
「そうなのかな……」
「とーや、照れ屋だからぜったい言わないけどね」
「おくってくれてありがとう、それじゃあまた」
「また明日ね」
「しっかり休めよ」
まなみの住んでるアパートを後にしていつもの道をゆきと歩きはじめた。
昨日はアパートの近くまでしか行かなかったが今日は玄関までおくってやった。
一日中ずっと疲れた顔をしたまなみを見ていたら、これは放っておけないと思ったからだ。
それに思ってたよりもアパートが近所だったから驚いた。
「ひとつ聞いていいか」
「何、とーや」
「あいつ、おれのこと怖がってないか」
朝からまなみがおれと話すときに顔がひきつってたのは何だったんだ。
まだ会って数日だから緊張しているのかと思えば、ゆきとは仲よさそうに話してやがる。
「しゃべってないときの顔が怖いんじゃない?」
ゆきがくすくす笑いながら言った。
「何で笑ってんだよ」
「まなみが言ってたよ、睨んでるって」
「はあ?」
「でもだいじょうぶ。仲よくなりたいって言ってたから」
決して睨んでいたつもりなんかいないのに、睨んでいると思われていたのが思いの外ショックだった。
ただ心配をしていただけだったのに。
でもまなみがおれと仲よくなりたいと少なからず思っているということを聞いて、少し嬉しくなった。
君と同じなんだ
(ぼくとまなみが仲よしだから、ヤキモチ妬いてるの?)