張り付いた雨粒がつうっと窓を伝って、落ちた。
窓を閉めているにもかかわらず、ざあざあと雨が落ちては流れる音が教室にまで聞こえてくる。寝ようと思ってる時には耳障りで仕方がない。雨が降る音も、雨水が溜まって発するぴちゃぴちゃとうるさい水音も、全部安眠妨害だ。そう、例えば。寝ているのにもお構いなしに話しかけてくるこいつみたいな。
「梅雨ですね!成宮くん!かたつむりは見かけましたか?」
「ん〜〜‥」
「わたしは見ました!今日!学校から数十メートルもしないところに紫陽花が咲いてまして‥」
何が楽しいのか、星原は突然梅雨について語り始めた。梅雨の何がいいと言うんだ。じめじめと湿気がひどいのを感じるし、洗い立てのシャツもあんまりいい匂いがしない。全部雨のせいだ。雨がうるさいから。傘を新しくしたからとか、お気に入りの長靴を履いてるからとか、そういう理由で雨を楽しいと思えるような歳はもう過ぎたんだよ。
春が終わったらすぐ夏になればいいのに。
「よかったら成宮くんも行きません?」
「え? あー。えーと、ほら!俺も忙しいからさ‥!」
「あ、お昼休みも忙しいんですか‥」
目に見えて落ち込む星原の様子に、罪悪感が募る。全然聞いてなかった。何かに誘われたことしか分かんなかったから、とりあえず断っちゃったけど。昼休みって言ったから、今日の昼休みってこと?なんだろ、一緒にご飯食べようとか、それくらいしか浮かばない。‥まあ、もしそうなら、聞いてなかった罰として一緒に食べてあげなくもないけど。
そう思ってやっぱいいよと言ってあげると、星原はものすごく目を輝かせて手を合わせて、嬉しそうに礼を言った。
「ありがとう成宮くん!じゃあ、お昼休みにまた迎えに来ますね!」
「う、うん‥」
俺も、情がうつっちゃったのかなあ。ここ最近で一番可愛い顔したんじゃないの?ま、まあそれでも中の上く‥言い過ぎた。中の中くらいだけど!!
そもそも、人に応援されたり好意を持たれたりするのは、嫌いじゃない。むしろ好きだ。もっと俺のファン増えてもいいもん。だからなのか知らないけど、星原にどんどん絆されて言ってる気がする。悪い子じゃないのは分かってるんだ。むしろ、いい子だと思う。ただ、もの〜〜〜〜〜すごく変人なだけで。もう、なんでこんな星原のことばっか考えてんだ。